講演情報

[P034]ピア・サポート活動の実践とその効果

【発表者】兒玉 安史1、金子 哲夫1、山中 浩泰1、山口 雅史1 (1. 広島国際大学 薬学部 (日本))
【目的】大学入学時には、新たな生活や人間関係への不安、そして学修への不安を抱えている学生が多い。新入生をはじめ学生が抱く不安や孤独感を少しでも解消させるためには、コミュニケーションの場を設け、学生同士が協働して助け合い、各々が成長していく環境が必要である。そこで、本学薬学部では、学生が求める支援を学生自らが実践し,学生同士がお互いに支援しながら成長していくことを目的に、ピア・サポート活動組織を立ち上げた。今回は、ピア・サポート活動を2年間実践した効果について報告する。
【方法】ピア・サポート活動では支援者の成長が被支援者の成長に反映すると考え、ピア・サポーターが新入生の支援者として参加したチームビルディング(TB)研修の場面において、新入生がピア・サポーターに抱いた印象を活動評価の一指標と捉え、前年度に得られた結果と比較検討した。アンケートは2023年度および2024年度に本学薬学部に入学した1年生を対象にTB研修受講後に実施し、語句の出現頻度と関係についてテキストマイニング分析を行った。
【結果・考察】2023年度は「チームでの話し合いをスムーズに進行させたり引っ張ってくれたりしたこと」が「先輩」と強い共起関係を示し、「研修」に対してのイメージが強く表れていた。一方、2024年度は「大学生活に関するサポート」「相談やアドバイスを受けたこと」「色々教えてもらったことで助かったこと」など印象に残った個々の活動が共起関係を示しており、「先輩」に対するイメージが強く表れていた。両年度とも「優しい」といった印象や「助かる」「サポート」といった支援に関する語が頻出していたが、2024年度はそれらの語の出現頻度が高まるとともに、「ありがとう」といった感謝の意が高頻度に現れた。このことは、サポートを受けたと実感した学生が増えただけでなく、メンバー各自が新入生だった頃を振り返り、新入生が抱く不安や疑問、困ったことを共感できたこと、そして新入生の求める支援を自身の体験を通して適切に提供できたからと考えられる。
【結論】ピア・サポート活動は、メンバーの成長を促し、多くの新入生に対して支援を提供することができた。また、学生自ら企画したイベントは学生にとって効果的であることが確認でき、ピア・サポート活動の重要性を実感した。