講演情報
[P039]ハイブリッド型授業でのアクティブ・ラーニング実施による学習動機づけへの影響
【発表者】須藤 遥1、殿山 泰弘1、中村 壽志2、牛田 貴子3、石田 洋一1、定本 清美1 (1. 湘南医療大学薬学部医療薬学科、2. 湘南医療大学保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻、3. 湘南医療大学保健医療学部看護学科)
湘南医療大学(以下、本学)は、薬学部と保健医療学部の2つの学部を持つ医療系大学であり、他学部教員による講義や演習が積極的に行われている。その一例として、本学薬学部の教員が保健医療学部の1年次前期選択科目である「生物学」を担当している。この科目は、単に基礎的項目を教授するだけでなく、チーム医療の観点から薬学的な内容を取り入れ、臨床を意識した授業を行っている。授業形式は対面と遠隔からなるハイブリッド型授業であり、これまで知識教授型授業を展開してきた。過去2年間の授業改善アンケートから、一方向的な授業や遠隔によるコミュニケーションの少なさが、学習意欲に好ましくない影響を与えている可能性があることが分かり、喫緊の課題となっていた。このような状況に対する解決策として、アクティブ・ラーニングが知られている。しかし、その手法は多岐にわたり、学生の特性に合わせ適切に選択する必要がある。そこで本研究では、学生の特性把握に重要な学習動機づけに着目し、ハイブリッド型授業におけるアクティブ・ラーニング実施による学習動機づけへの影響について解析した。今回導入したアクティブ・ラーニングは、SGDによるグループワークと、学習者同士で互いの取り組みや成果を評価するピア評価の2種類である。本研究は後ろ向きコホートであり、授業改善を目的に実施したアンケートの中から、学習動機づけに関わる項目を抽出し解析した。2024年度の生物学の全履修学生のうち、研究への同意が得られた9名を対象者とした。その結果、学習動機づけの変化については、本科目受講により取り入れ的調整が増加した。対象者の過半数で「勉強しないと不安だから」、「勉強しないと自分が恥ずかしいから」の項目の得点が増加していたことから、アクティブ・ラーニングにより不安や羞恥心が生じ、学習動機づけが高まったと考えられた。さらに、アクティブ・ラーニングの実施に関しては、学生から肯定的な回答が得られ、学習意欲や学習態度にポジティブな影響を与えていた。これらの結果から、今回導入したアクティブ・ラーニングが、ハイブリッド型授業でも有益な効果をもたらすことが示唆された。