講演情報

[P057]舞鶴市の薬剤師確保に向けた「舞鶴プログラム」の実施と課題

【発表者】桐村 昌典1、楠本 正明1、真下 耕治1、竹田 和也1、堀 哲史1、宮部 貴織1、上田 善美1、井上 敦介1、増田 伸洋1、梅村 亮司1、楠本 貴美子1 (1. 舞鶴薬剤師会)
京都府北部に位置する舞鶴市では、病院や保険薬局に従事する薬剤師の確保が深刻な課題となっている。文部科学省は、薬剤師の偏在対策の一環として、出身地で長期実務実習を行う「ふるさと実習」を推進しているが、地方においては実施例が少なく、舞鶴市でも2~3年に1度の割合にとどまっている。

 2019年度に文部科学省が委託した「薬学実務実習の諸課題についての調査・研究」では、地域医療における薬剤師の役割強化が課題として挙げられた。特に、チーム医療への積極的な参画や保健・福祉・行政との連携が求められるが、実践的能力の向上が十分でないことが指摘されている。一方、「ふるさと実習」経験者の約70%が地元就職を積極的に検討し、約80%の学生が条件次第で遠距離地域での実務実習に参加したいと考えていることが報告された。意思決定に影響する要因として、①実習施設の教育環境(医療機関の機能、チーム医療、参加型実習、地域連携など)、②実習の時期、③宿泊施設の提供、④就職を視野に入れた施設見学・体験が挙げられた。

 これらの結果を踏まえ、舞鶴市では薬剤師確保のために2023年から「舞鶴プログラム」を立ち上げた。本プログラムは、舞鶴薬剤師会が中心となり、京都府薬剤師会や行政と連携し、多施設協力型の実習環境を整備することで、地域医療への関心を高め、実習を通じて薬剤師の地域定着を促進することを目的としている。また、遠距離地域からの実習生の受け入れにも積極的に取り組み、地域医療への理解を深める機会を提供することで、将来的な地元就職へとつなげる狙いがある。

 本発表では、「舞鶴プログラム」実施の経緯と具体的な取り組み、ならびにその成果と今後の課題について報告する。