講演情報

[P063]藤田医科大学病院実務実習における他施設との共同実習の取り組み

【発表者】戸邊 隆夫1,2、津川 透1、長谷川 章2、山田 成樹1,2 (1. 藤田医科大学病院 (日本)、2. 藤田医科大学 (日本))
【目的】実務実習は医療現場における薬剤師の役割を体得し、臨床に係る実践的能力を培うだけにとどまらず、先輩薬剤師の働き方を見学することで自身の将来的な薬剤師像を想像できるなど実習生の就職に関連した側面も担ってきた。しかしながら病院実務実習では複数施設での共同的な実習が難しく、多くの病院実務実習が単施設で実施されてきたことから、実習生が見学できる薬剤師の活躍も限定的だと思われる。そこで藤田医科大学病院(当院)では病院実務実習の向上と幅広い薬剤師像の発見を目的として、実習生を受け入れていない病院や実習生を受け入れている系列病院に実習生を引率し、普段の実習とは異なる規模の病院での薬剤師業務見学を実施した。【方法】2024年度2期より藤田医科大学七栗記念病院、2024年度4期より寿光会中央病院に対して実習生を当院薬剤師とともに派遣し、薬剤師業務を見学した。七栗記念病院には1年間を通じて当院の実習生28名のうち希望者21名が参加し、寿光会中央病院での見学は全員参加とし4期の実習生8名が見学した。七栗記念病院では終末期医療チームでの薬剤師の役割、寿光会中央病院では住宅型有料老人ホームでの薬剤師の関わり方を体感した。2期と3期の実習生には自由記載で他施設見学に関する意見を集計し、4期の8名に対しては共同実習の日程や必要性、実習でのニーズ等に関するアンケートを実施した。【結果】2期および3期の七栗記念病院見学者では「終末期医療への興味が増した」「幅広く将来の薬剤師像をイメージできた」などの好意的な意見が多かった。一方で不参加者からは「交通費が高い」「当院での実習で完結している」などの指摘があった。4期の実習生に対するアンケートでは、共同実習は4名が大変有意義、2名が有意義と感じたと回答した。また、実習におけるニーズとしては6名が合致している、2名がほぼ合致していると回答した。【考察】実習生が薬剤師として就職する将来像を想像する際には病院と薬局で大別されることが多いが、今回の取り組みによって病院の規模や機能によって薬剤師の働き方が全く異なることを実感できたと思われる。実習生の実務実習に対するニーズに応えるために、薬剤部内や他職種との関わり合いを充実させてきたが、今後は当院だけでなく地域の病院薬剤師と協力することで病院薬剤師の様々な魅力を実習生に伝えられる可能性が示唆された。