講演情報
[P071]低学力層の学修自己評価と客観的評価の乖離を可視化する評価法の開発
【発表者】池田 徳典1、寒水 壽朗1、中山 泰宗2 (1. 崇城大学薬学部、2. 崇城大学総合教育センター)
【目的】定期試験は、科目レベルにおける学生の学修成果を把握する最も有用な直接評価の指標である。この定期試験の不合格者には再試験を実施するが、再試験対象者は元々の学修行動に何らかの問題を抱えている可能性が高く、試験結果を基にした根本的な教育指導が必要である。しかし、単純な正誤評価のみの再試験では、学生の自信度 (自己評価) と正答 (客観的評価) の関係を詳細に把握することが困難である。そこで本研究では、薬学生の低学力層 (再試験対象者) を対象に、多肢選択問題の配点を学生自身に委ねる新たな再試験法を考案し、その有用性を検証した。
【方法】本研究は、2023年度薬学3年生のうち、薬物治療学Ⅰの再試験を受験し、同意の得られた35名を対象に実施した。再試験 (80分間) の中の多肢選択問題27問(合計85点) について、学生自身が以下の条件に従って各問題の配点を決定した。
10点: 3問まで使用可能 (合計30点)
5点: 4問まで使用可能 (合計20点)
3点: 5問まで使用可能 (合計15点)
2点: 5問まで使用可能 (合計10点)
1点: 10問まで使用可能 (合計10点)
試験結果の解析は以下の方法で行った。
・ 問題全体の正解率および配点ごとの正解率を算出。
・ 学生の配点傾向と正解率の関係をヒートマップで可視化。
・ 各学生の配点と正解率を加重計算し、
Weighted Correctness Score(WCS)を算出。
・ 多肢選択問題の正解数とWCSの関係を散布図で検討し、
自己評価の正確性を分析。
【結果】全体として、配点が高い問題ほど正解率が高い傾向が認められた。しかしながら、50%未満の正解率の問題に10点の配点を設定し、不正解となった学生も一定数存在した。また、同じ正解数でもWCSに大きな差がみられたことから、自己評価の正確性には個人差があることが示唆された。
【考察】本手法を用いることで、個々の学生の自己評価と客観的評価のミスマッチ度を直接的に測定することが可能であった。これにより、自己評価の過大または過小傾向を持つ学生の抽出が可能となり、再試験の結果を基にした個別指導の一助となると考えられる。本手法は、低学力層の学修力を可視化し、学修支援を強化するための新たな評価指標として有用である。
【方法】本研究は、2023年度薬学3年生のうち、薬物治療学Ⅰの再試験を受験し、同意の得られた35名を対象に実施した。再試験 (80分間) の中の多肢選択問題27問(合計85点) について、学生自身が以下の条件に従って各問題の配点を決定した。
10点: 3問まで使用可能 (合計30点)
5点: 4問まで使用可能 (合計20点)
3点: 5問まで使用可能 (合計15点)
2点: 5問まで使用可能 (合計10点)
1点: 10問まで使用可能 (合計10点)
試験結果の解析は以下の方法で行った。
・ 問題全体の正解率および配点ごとの正解率を算出。
・ 学生の配点傾向と正解率の関係をヒートマップで可視化。
・ 各学生の配点と正解率を加重計算し、
Weighted Correctness Score(WCS)を算出。
・ 多肢選択問題の正解数とWCSの関係を散布図で検討し、
自己評価の正確性を分析。
【結果】全体として、配点が高い問題ほど正解率が高い傾向が認められた。しかしながら、50%未満の正解率の問題に10点の配点を設定し、不正解となった学生も一定数存在した。また、同じ正解数でもWCSに大きな差がみられたことから、自己評価の正確性には個人差があることが示唆された。
【考察】本手法を用いることで、個々の学生の自己評価と客観的評価のミスマッチ度を直接的に測定することが可能であった。これにより、自己評価の過大または過小傾向を持つ学生の抽出が可能となり、再試験の結果を基にした個別指導の一助となると考えられる。本手法は、低学力層の学修力を可視化し、学修支援を強化するための新たな評価指標として有用である。