講演情報

[P077]薬剤師国家試験解法における「調剤指針」の活用-実務領域の出題傾向の変化-

【発表者】高橋 直仁1、中山 裟也佳1、吉田 暁1、堀井 徳光1、三ヶ田 潤哉1、大嶋 繁1、大野 泰規2、小林 大介1,2、大島 新司1 (1. 城西大学薬学部 (日本)、2. 株式会社ヴェルペンファルマ (日本))
【目的】
「調剤指針」は日本薬剤師会が監修する唯一の調剤マニュアルであり、薬学部においても、調剤関連科目の教科書として用いられている。先行調査では、「調剤指針」を参照することで薬剤師国家試験問題(第97回から第104回)の全出題数の約11%に相当する平均40.7問について完全解答が可能であることを確認している。一方で、薬剤師業務の進展に伴い平成25年に薬学教育モデル・コアカリキュラムが改訂(以下、改訂コアカリ)され、薬剤師国家試験問題は年々複雑化・難化の傾向にある。そこで本研究では、改訂コアカリ適用後の第106回から第109回の薬剤師国家試験問題において、「調剤指針」を活用した解答可能性を調査した。
【方法】
改訂コアカリ適用前(第97回~第100回)、過渡期(第101回~第105回)および適用後(第106回~第109回)の薬剤師国家試験問題を「調剤指針」と照合し、完全解答または部分解答が可能な問題数を比較した。また、実務実践問題の出題傾向を把握するため、適用前、過渡期および適用後における実務単問の文字数の変化についても調査した。
【結果】
改訂コアカリ適用前後において、必須問題における「調剤指針」を用いた完全解答数に大きな変化は認められなかった(適用前平均15.8問、過渡期平均14.2問、適用後平均13問)。一方、実務実践問題では、適用後の完全解答可能な問題数が減少し、(適用前平均21.5問、過渡期平均21.6問、適用後平均14問)、同時に実務単問の文字数は適用前と比較し、過渡期および適用後に有意に増加していた(いずれもp < .001)。
【考察】
本結果は、実務実践問題におけるカリキュラム改訂に伴う出題傾向の変化を示唆している。改訂コアカリでは今後の薬剤師業務の進歩を想定し、「薬学臨床」が大幅に見直された。この見直しが、薬剤師国家試験問題作成に反映され「調剤指針」で解答できる割合の減少に繋がったと考えられる。