講演情報
[P083]病態・薬物治療学分野における薬学モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)に基づく薬剤師国家試験対策
【発表者】秋山 晴代1、栗坂 知里1、島﨑 学1、小林 秀昭1 (1. 帝京平成大学薬学部 (日本))
【目的】薬学モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版、以下新カリ)では、旧カリ(平成25年度改訂)と比較して病態・薬物治療学分野の代表的疾患が絞り込まれている。そのため各大学の裁量が大きくなり、薬剤師業務や薬剤師国家試験(以下、国試)対策において、どの疾患を重点的に扱うかの選定が重要となる。本研究では、過去5年間の国試における病態・薬物治療分野の出題疾患を調査し、臨床系専門教員と実務家教員の意見をすり合わせるための疾患候補情報の集約を目的とした。
【方法】第106回~110回の国試における病態・薬物治療分野の出題傾向を疾患別に分類し(188疾患)、新カリでの扱いを調査した。これら疾患項目について国試出題頻度を伏せた上で、臨床系専門教員と実務家教員を対象に、疾患の重要度を1点「必要ない。または、就職してからで良い。」から10点「病態・薬物治療から複数の疾患を合併している症例まで学んでおく必要がある。」までの10段階で回答を取得し集計した。
【結果】過去5年間の国試で頻出した疾患は、糖尿病(12回)、貧血(11回)、高血圧症(10回)、脳血管疾患(10回)であった。出題されていたものの、新カリで取り上げられていない疾患には、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、白血球減少症、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性腎症、低血糖症などがあった。一方、新カリで新たに追加された疾患として避妊が挙げられた。頻出疾患(4回以上)の重要度については、臨床系・実務家教員を合わせ平均8点となり、「病態・薬物治療から症例」程度の学びが必要と評価された。また国試で1回でも出題されている疾患まで広げると平均6点となり、「病態・薬物治療の基本的事項」程度の学びが必要と評価された。なお、蜂窩織炎、過活動膀胱、光線過敏症については、実務家教員の評価が高かったが国試での出題頻度は低かった。
【考察】国試で出題頻度の高い疾患を中心に教えることは、国試の合格率向上に直接つながり、それら疾患に対する薬剤師の対応力向上が期待される。しかし、臨床現場で経験する患者の数も考慮する必要がある。今後は、臨床系専門教員と現場経験者である実務家教員の意見を統合し、病態・薬物治療学分野で重点的に扱う疾患を選定し、教育内容の充実を図ることで、薬剤師の資質・能力向上に貢献するカリキュラムの改善を進めていく。
【方法】第106回~110回の国試における病態・薬物治療分野の出題傾向を疾患別に分類し(188疾患)、新カリでの扱いを調査した。これら疾患項目について国試出題頻度を伏せた上で、臨床系専門教員と実務家教員を対象に、疾患の重要度を1点「必要ない。または、就職してからで良い。」から10点「病態・薬物治療から複数の疾患を合併している症例まで学んでおく必要がある。」までの10段階で回答を取得し集計した。
【結果】過去5年間の国試で頻出した疾患は、糖尿病(12回)、貧血(11回)、高血圧症(10回)、脳血管疾患(10回)であった。出題されていたものの、新カリで取り上げられていない疾患には、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、白血球減少症、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性腎症、低血糖症などがあった。一方、新カリで新たに追加された疾患として避妊が挙げられた。頻出疾患(4回以上)の重要度については、臨床系・実務家教員を合わせ平均8点となり、「病態・薬物治療から症例」程度の学びが必要と評価された。また国試で1回でも出題されている疾患まで広げると平均6点となり、「病態・薬物治療の基本的事項」程度の学びが必要と評価された。なお、蜂窩織炎、過活動膀胱、光線過敏症については、実務家教員の評価が高かったが国試での出題頻度は低かった。
【考察】国試で出題頻度の高い疾患を中心に教えることは、国試の合格率向上に直接つながり、それら疾患に対する薬剤師の対応力向上が期待される。しかし、臨床現場で経験する患者の数も考慮する必要がある。今後は、臨床系専門教員と現場経験者である実務家教員の意見を統合し、病態・薬物治療学分野で重点的に扱う疾患を選定し、教育内容の充実を図ることで、薬剤師の資質・能力向上に貢献するカリキュラムの改善を進めていく。