講演情報

[P115]採点業務の効率化および設問評価の迅速化により反復的な試験形式の演習を支援するツールの作成と活用

【発表者】平 郁子1、八代田 英樹1、大西 敦1、小林 秀昭1 (1. 帝京平成大学薬学部、IR委員会)
【背景】定期試験を含む試験形式の演習は、学生自身の弱点を把握させ、知識や技能を強化する重要な手段である。特に反復的に演習を行い、その都度フィードバックを行うことは、学生に学習進捗を確認させ、新たな目標を設ける機会となる。従って、演習とフィードバックの組み合わせを定期的に行うことは、計画的かつ日常的な学習を習慣化するのに有効と考えらえる。しかし、学生自身の学習時間を確保しつつ演習を反復するためには、試験の採点、およびその結果と出題内容の評価を迅速化し、演習後のフィードバックまでの期間を短縮する必要があった。今回は、本学薬学部において実行している、短時間で試験結果をデータ化する取り組みについて報告する。
【方法】基盤となるファイルとして、マークシートを読み取ったcsvデータなどを点数化する採点シート(以下、採点シート)をMicrosoft Excelで作成した。採点シートでは、受験者が誤答しやすい選択肢をフィードバックする情報として得るため、設問ごとに選択肢の選択率を算出させた。また、成績順位と正答率から識別指数を算出して、設問ごとに難易度の評価を可能とした。算出された採点結果から成績分布を視覚的に把握するため、採点シートにはヒストグラム作成機能を併設した。この採点シートは、2011年度から試験的に運用を開始し、2016年度より本学薬学部の全教員に配信を開始した。配信開始後、受験者による学籍番号などのID記入ミスにより一部受験者のデータが得られない事例が報告されたため、受験者総数の表示と併せて、複数の同一IDおよび在籍者名簿にないIDを検出する機能を追加した。
【結果・考察】採点シートは試験の採点業務を簡略化し、定期試験以外にも高い頻度で試験形式の演習が実施可能となった。採点シートにより各設問に算出される選択肢の選択率と識別指数は、設問の難易度の評価だけでなく、正答データの誤りの検出にも利用された。また全教員に採点シートを配信したことにより、共通の書式による成績エビデンスの蓄積に貢献した。解答データの収集は、マークシートだけでなく、Formsのような解答データをExcelシートに出力できるオンラインアプリ等にも対応できるため、オンライン化やペーパーレス化にも対応可能である。このように、内製化された採点シートは用途に応じた調整が随時可能であり、今後も活用していく予定である。