講演情報
[P119]薬学生の英語専門用語習得における語彙サイズとカタカナ語の役割
【発表者】スミス 朋子1、【発表者】天ヶ瀬 葉子1、山下 直子2、野口 ジュディー3 (1. 大阪医科薬科大学薬学部 (日本)、2. 香川大学教育学部 (日本)、3. 神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部 (日本))
薬学生は、専門用語として多数のカタカナ語(主に英語由来の借用語)を学習する必要がある。我々の先行研究では、日本語においてカタカナ語の対応がある英語専門用語が、英語の読解および聴解において語彙理解に役立つ可能性があることを示唆してきた。本研究では、学習者の英語語彙サイズに着目し、カタカナ語の対応がある英語専門用語の理解度に対する影響を検証した。
調査では、2023年度後期、2年次生147名を対象に2種類の語彙テストを実施した。第一に「新JACET8000に基づく日本人英語学習者の語彙サイズテスト」を用い、5,000語程度までの語彙知識を測定した。第二に、英語専門用語の日本語訳を選ぶテストを実施した。専門用語で①カタカナ語の対応があるもの(40語)、②対応がないもの(20語)、および③撹乱肢としての一般用語(5語)を含む全65語から構成される。分析には一般用語を除いた①と②の60語を用いた。
語彙サイズテスト(100点満点)の結果、調査協力者のうち142名の平均点は82.63点であり、ほぼ全員が高校卒業時に想定される3,000語以上を習得していると考えられた。そのうち7割超(106名)は80点以上を獲得し、4,000語以上の語彙知識があると推測された。次に、英語専門用語のテスト(60点満点)の平均点は45.57点(正答率76.0%)であった。①カタカナ語の対応がある語の平均得点は40問中32.70点(正答率81.75%)、②の対応がない語は20問中12.87点(正答率64.35%)であり、t検定の結果、両条件の平均の差は有意で、対応がない語より対応がある語のほうが正答率が高いといえる。これは日本語のカタカナ語の知識が英語専門用語の理解度に役だつ可能性を示している。
さらに、語彙サイズテストの得点の中央値(84点)を基準に調査協力者を上位群と下位群に分けて専門用語のテスト結果を分析した。カタカナ語の対応がない語では、上位群の正答率は67.43%、下位群は58.90%で、差は8.53%であった。一方、対応のある語では、上位群83.42%、下位群79.34%と、差は4.08%にとどまった。これにより、カタカナ語の知識が、語彙サイズ差をある程度埋める要因となり、英語語彙力の大小に関わらず専門用語の理解を促進する可能性が示唆された。
調査では、2023年度後期、2年次生147名を対象に2種類の語彙テストを実施した。第一に「新JACET8000に基づく日本人英語学習者の語彙サイズテスト」を用い、5,000語程度までの語彙知識を測定した。第二に、英語専門用語の日本語訳を選ぶテストを実施した。専門用語で①カタカナ語の対応があるもの(40語)、②対応がないもの(20語)、および③撹乱肢としての一般用語(5語)を含む全65語から構成される。分析には一般用語を除いた①と②の60語を用いた。
語彙サイズテスト(100点満点)の結果、調査協力者のうち142名の平均点は82.63点であり、ほぼ全員が高校卒業時に想定される3,000語以上を習得していると考えられた。そのうち7割超(106名)は80点以上を獲得し、4,000語以上の語彙知識があると推測された。次に、英語専門用語のテスト(60点満点)の平均点は45.57点(正答率76.0%)であった。①カタカナ語の対応がある語の平均得点は40問中32.70点(正答率81.75%)、②の対応がない語は20問中12.87点(正答率64.35%)であり、t検定の結果、両条件の平均の差は有意で、対応がない語より対応がある語のほうが正答率が高いといえる。これは日本語のカタカナ語の知識が英語専門用語の理解度に役だつ可能性を示している。
さらに、語彙サイズテストの得点の中央値(84点)を基準に調査協力者を上位群と下位群に分けて専門用語のテスト結果を分析した。カタカナ語の対応がない語では、上位群の正答率は67.43%、下位群は58.90%で、差は8.53%であった。一方、対応のある語では、上位群83.42%、下位群79.34%と、差は4.08%にとどまった。これにより、カタカナ語の知識が、語彙サイズ差をある程度埋める要因となり、英語語彙力の大小に関わらず専門用語の理解を促進する可能性が示唆された。