講演情報

[P014]オンライン実施と対面実施による模擬患者参加型医療面接演習における学生の振り返りの比較

【発表者】岩澤 晴代1、新井 亘1,2、飯島 亮介1、板垣 文雄1、長田 洋一1、土屋 裕伴1,2、中村 英里1、前島 多絵1、村上 勲1、山岡 法子1、渡辺 茂和1、渡邊 真知子1 (1. 帝京大学薬学部 (日本)、2. 上尾中央総合病院薬剤部 (日本))
【目的】
帝京大学薬学部では、患者と信頼関係を築き、薬学的管理を行う上で必要な情報収集や情報提供を行なうためのコミュニケーションスキルを身につけることを目的として、模擬患者に対して医療面接を行い、自身の能力を省察する演習を5年次の病院実習直前に実施している。オンラインで受講した学生の授業振り返りから、オンラインでのシミュレーションも効果的である可能性が示されている。従来は対面で実施しているため、オンライン実施と対面実施で模擬患者参加型医療面接演習における学生の振り返りに違いがあるかについて、比較検討を行った。
【方法】
2019年度261名(対面)、2022年度276名(オンライン)を対象に、1日目に症例解析、講義、学生同士でロールプレイを行い、2日目に模擬患者に対する医療面接とフィードバックを実施した。演習前後にコミュニケーションスキルに関する自己評価(5段階尺度)を、医療面接終了後に振り返り(自由記述:うまくできたこと、できなかったこと、改善点、感想)を実施した。5段階尺度データは点数化してWilcoxon検定を行い、p <0.05を有意とした。自由記述は、テキストマイニングを行った。
【結果・考察】
2019年度と2022年度の授業前の自己評価を比べると、2022年度のオンライン実施の方が授業前でも「自信がある」があると回答した項目が多かった。コロナ下はオンラインでの講義が多かったためコミュニケーションに関して苦手と感じる機会が少なく、自信を持っている学生が多い可能性が考えられた。授業後の自己評価も、多くの項目で2022年度の方が「自信がある」と回答した学生の割合が多かった。特に、「リラックスして行う」「副作用の発現を予測する」「症状を詳細にきき出す」「患者の気持ちについて尋ねる」の項目で、年度の差が大きかった。感想では、どちらの年度も「患者」「良い」「経験」という単語が多く抽出されたが、「出来る」という単語の出現が2022年度の方が少なかった。以上のことから、シミュレーションを通してコミュニケーションスキルを振り返る演習の意義は、授業形式による差はないと考える。しかし、オンラインではリラックスした環境で行える一方で、自分が出来たことや出来なかったことについて具体的に印象に残すことが難しかったと考えられ、振り返りの内容は実施形式により差がある可能性が示された。