講演情報
[P030]薬学初年次教育におけるメタバース空間の活用事例の報告
【発表者】齋藤 博1、中村 有貴1、西尾 信一1、和田 重雄1、福嶋 仁一1、田島 昭彦1、秋谷 和宏1、木暮 喜久子2、高田 直樹2、岡﨑 達也2、菊地 貴浩2、安田 高明1 (1. 日本薬科大学薬学部 (日本)、2. 薬学ゼミナール (日本))
【目的】本学では薬学モデル・コア・カリキュラムの改定を受け、令和6年度入学生(現2年生)から学習カリキュラムの大幅な改定を行い、およそ3ヶ月間の学生の自己学習時間を確保することができた。一方、確保した学習時間を大学で実施する補習に充てたとしても、通学にかかる時間や交通費などが学生参加率低下の要因となることが予想される。そこで、本学では薬学ゼミナールの協力を得て、メタバース空間を活用した夏休みならびに年度末休みの有効的な学習活用について検討し、令和7年8月1日から運用することにした。今回はこのメタバース空間を活用した自己学習計画について報告する。【方法】薬学ゼミナールの運営するメタバース空間に本学全1年生を登録し、メタバースを介した補習を行う。なお、2年生以降の学生は希望者の登録とし、チュータとして学習サポートを行ってもらう計画とした。補習は8月に化学、生物科目をそれぞれ15コマ(5日間×3コマ)、数学5コマを実施、2月に有機化学、分析化学、生体内高分子化学15コマ(5日間×3コマ)をそれぞれ実施。なお、8月、2月の補習は前後期の成績不振者は受講必須とし、復習を目的とした講義とし、一部後期科目の予習内容を含ませた。3月は有機化学、薬理、機器分析を意識した補習をそれぞれ15コマ(5日間×3コマ)実施し、2年次の予習を目的とした講義とした(各科目受講料1万円:薬ゼミ講師担当、数学無料:大学教員担当)。メタバース講座開講に先駆け、各補習の受講希望調査を行った。【結果】事前の補習希望者調査の結果、8月の補習受講希望者は化学系講習30人、生物系講習25人、2月の補習受講者は専門科目(生物系①)23人、(生物系②)24人、(有機化学系)39名であった。3月の補習は専門科目(物理系)39名、(有機化学系)32名であった。受講料を支払ってまで受けたくないと回答した学生は8月(48.5%)2月(56.7%)3月(54.6%)であった。【考察】5月の時点の調査結果より、有料であったとしても夏休みに補習を受けたい(受けなければいけない)と感じた学生が一定数いたことからメタバースで実施する補習は有効であると考えられる。【結論】今まで対面で同様の補習を実施しているが、参加費を徴収したとしても回を重ねるほど参加者数が低下する傾向が認められた。メタバースでどう推移するのか今大会で報告予定である。