講演情報
[P036]薬学生の視野拡大を目指した初年次教育の実践:選択科目「道場ミライ薬剤師」の取り組み
【発表者】宇田川 周子1、朴 炫宣1 (1. 大阪大谷大学 薬学部 (日本))
1.はじめに
6年制私立薬学部において、多くの学生の目標は「国家試験合格による薬剤師資格の取得」となっている。しかし、国家試験合格はあくまでもスタートラインに過ぎず、その後の薬剤師としてのキャリアは学生生活よりも長い。6年間の学びを「国家試験合格」という狭い視点に止めるのではなく、将来の薬剤師像を主体的に考え、広い視野で学修を進めていくことが重要である。本学では学生の視野拡大を目的として、2022年より1年次選択科目として「道場ミライ薬剤師」という集中講義を開講した。
2.「道場ミライ薬剤師」概要
本講義では、将来薬剤師として求められる幅広い資質を涵養することを目的とし、薬学分野に加え、将来実務で連携する多職種(コメディカル)との協働を見据えた内容で構成されている。薬学分野からは、統計、経営、香粧学、スポーツファーマシスト、知財の5分野、また、多職種連携分野から栄養、福祉、心理の3分野を取り上げ、いずれの科目も各分野で現職の講師を招き現場経験に基づく講義を実施している。
3.結果と考察
受講後アンケートからは、薬学分野の科目について、国家試験範囲を超えた内容に触れることで、将来これらの学びがどのように活かされるかを具体的にイメージでき、今後の学びに対して前向きな関心を持つようになったとの回答が多く見られた。その結果、学修内容が資格取得だけではなく、将来の実務や専門性の発展にもつながることを実感し、学修意欲の向上が示唆された。一方、多職種連携に関する講義では、管理栄養士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーといった、他職種の専門的視点に触れることで、受講生は多様な医療チームの在り方への理解を深める機会を得た。従来の多職種連携教育が医師・看護師との連携に重点を置く傾向がある中で、本講義はそれ以外の職種に焦点を当て、それぞれの専門性や実務内容に基づいた講義を通じて、より多様かつ現実的な医療チームの構成についての理解を促した。これにより、学生は薬剤師の役割をより多角的かつ柔軟に捉え直す契機を得たことがうかがえた。
4.おわりに
初年次において、あえて発展的な内容を現場視点とともに学ぶことで、学生の興味・関心の幅が広がり、今後の6年間の学びに対する主体性の向上が期待される。本発表では、学生のレポートやアンケート結果をもとに、本取り組みの教育的意義と今後の展望について報告する。
6年制私立薬学部において、多くの学生の目標は「国家試験合格による薬剤師資格の取得」となっている。しかし、国家試験合格はあくまでもスタートラインに過ぎず、その後の薬剤師としてのキャリアは学生生活よりも長い。6年間の学びを「国家試験合格」という狭い視点に止めるのではなく、将来の薬剤師像を主体的に考え、広い視野で学修を進めていくことが重要である。本学では学生の視野拡大を目的として、2022年より1年次選択科目として「道場ミライ薬剤師」という集中講義を開講した。
2.「道場ミライ薬剤師」概要
本講義では、将来薬剤師として求められる幅広い資質を涵養することを目的とし、薬学分野に加え、将来実務で連携する多職種(コメディカル)との協働を見据えた内容で構成されている。薬学分野からは、統計、経営、香粧学、スポーツファーマシスト、知財の5分野、また、多職種連携分野から栄養、福祉、心理の3分野を取り上げ、いずれの科目も各分野で現職の講師を招き現場経験に基づく講義を実施している。
3.結果と考察
受講後アンケートからは、薬学分野の科目について、国家試験範囲を超えた内容に触れることで、将来これらの学びがどのように活かされるかを具体的にイメージでき、今後の学びに対して前向きな関心を持つようになったとの回答が多く見られた。その結果、学修内容が資格取得だけではなく、将来の実務や専門性の発展にもつながることを実感し、学修意欲の向上が示唆された。一方、多職種連携に関する講義では、管理栄養士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーといった、他職種の専門的視点に触れることで、受講生は多様な医療チームの在り方への理解を深める機会を得た。従来の多職種連携教育が医師・看護師との連携に重点を置く傾向がある中で、本講義はそれ以外の職種に焦点を当て、それぞれの専門性や実務内容に基づいた講義を通じて、より多様かつ現実的な医療チームの構成についての理解を促した。これにより、学生は薬剤師の役割をより多角的かつ柔軟に捉え直す契機を得たことがうかがえた。
4.おわりに
初年次において、あえて発展的な内容を現場視点とともに学ぶことで、学生の興味・関心の幅が広がり、今後の6年間の学びに対する主体性の向上が期待される。本発表では、学生のレポートやアンケート結果をもとに、本取り組みの教育的意義と今後の展望について報告する。