講演情報

[P038]微生物学実習の学修への効果 −モデルコアカリキュラムとの対応−

【発表者】市川 智恵1、湯本 哲郎2、木村 聡一郎3、小田中 啓太3、石橋 芳雄1 (1. 湘南医療大学 薬学部 微生物・免疫学、2. 湘南医療大学 薬学部 教育センター、3. 湘南医療大学 薬学部 感染制御学)
【目的】薬学教育モデル・コアカリキュラム(コアカリ)が令和4年度に改定され、一般目標及び到達目標(GIO-SBOs)は、概念化した学修目標に改められた。一方で、本学薬学部の微生物学実習の内容はコアカリ 平成25年度改訂版のSBOsで示された「技能」項目を網羅する内容から優先的に作成されたものである。本学では、令和8年度からコアカリ令和4年度改訂版に準拠した微生物学実習を行うことから、現行の実習内容が令和4年度改訂版のコアカリに基づき履修する学生の学修にも有用か検討した。

【方法】2024年度第3学年前期に行った微生物学実習試験の後に、マークシート方式による質問紙調査を行った。学生から、自身の実習内容の習熟度の申告とともに、実習への取り組み姿勢や実習の感想などの回答を得た。コアカリ 平成25年度改訂版のSBOsの「技能」に該当する主な項目は「グラム染色」、「無菌操作」、「菌の分離培養」、および薬学アドバンスト教育ガイドラインに記載された「細菌の同定」などであり、学生はこれら項目について実習後に手法を覚えているか、1人で行えるか、などの自己判定を回答した。統計処理はJMP-proソフトウェアにより行った。 なお、質問紙調査を行うにあたり、学生には口頭および文書開示による説明を行い、回答をもって同意を得たこととした。本研究は、成績との連結と匿名化を科目担当外の教員が行うことで学生への不利益を避けること等を配慮し、本学研究倫理委員会の承認を得て行った(医大研倫第24-002号)。

【結果・考察】2024年の履修学生はコアカリ 平成25年度改訂版に準拠したカリキュラムで学修している。実習ではおよそ9割の学生がSBOsで規定された技能を十分に修得できていると考えられた。実習に参加した学生の座学科目への興味も増加しており、本実習を行うことはコアカリ令和4年度改訂版を使用する学生に対しても微生物学関連の学修目標達成へ貢献するものと考えらえた。