講演情報
[P056]実習中におこなった症例検討試験の結果からみた薬物療法の実践的能力に対する取り組みの成果と課題 ~コロナ禍のWEB実習と現在のハイブリッド実習の評価~
【発表者】外石 昇1、田籠 美保子1、正村 早紀1、久島 綸子1 (1. 医療法人財団健貢会 総合東京病院 薬剤科)
【目的】総合東京病院では薬物療法の実践的能力の向上に着目し、実習中に症例検討を行っている。実習生は、体験した症例を実習生同士で討論し発表することにより、能力向上に繋げている。しかし、グループワークのみでは個々の能力がどの程度向上したのかが評価できない。よって、実習中盤以降に“症例検討試験”として個々に課題を与えることにより、個別にその評価をしている。この症例検討試験の結果について、コロナ禍の2020年度から現在までのデータを集計した。このデータから当院の実習の成果と課題を検討したので報告する。
【方法】2020年度Ⅱ期から2024年度Ⅳ期までの実習生(5大学78名)に対する症例検討試験として、入院時の患者情報から最重要プロブレムの初期計画を立案するという課題を与えた。各実習生が作成したプロダクトに対し、モデル・コアカリキュラムの概略評価「処方設計と薬物療法の実践(処方設計と提案)」(1~4)を用いて面談によりフィードバックした。今回このデータに追加して、薬物療法の実践の工程を情報収集、問題抽出、最適化、評価、計画などに分割し0, 1, 2の三段階で再評価した。これらのデータを2021年度3期までのWEB実習とそれ以降のハイブリッド(以下HB)実習で比較検討した。
【結果】概略評価を用いた評価ではWEB実習で平均1.92、HB実習で平均1.68となった。再評価でも全体的にHB実習の平均値が低くなる傾向であったが、情報収集と論理的アセスメントの工程で特に差が大きくなっていた。全体では、薬物療法の最適化、具体的な解決策立案に対する評価がWEB、HBとも、平均0.6~0.8と他の項目に比べ低い傾向にあった。
【考察】WEBに比べHB実習が低い評価となっていたのは、概略評価と、再評価の情報収集、論理的アセスメントであった。これはWEB実習では実習生に与えられる情報量が限定され症例検討に集中できたことに加え、HB実習では膨大な電子カルテ情報から収集するため、情報の取捨選択が難しかったものと考えられる。また、薬物療法の最適化、具体的な解決策立案については再評価で低い値を示したことから、実習方略を再考すべきである。
【結論】実習途中で定性的な試験を行うことにより、個別に形成的評価をすることができ、実習受入れに対する課題が可視化できるため、有用であると考えられる。
【方法】2020年度Ⅱ期から2024年度Ⅳ期までの実習生(5大学78名)に対する症例検討試験として、入院時の患者情報から最重要プロブレムの初期計画を立案するという課題を与えた。各実習生が作成したプロダクトに対し、モデル・コアカリキュラムの概略評価「処方設計と薬物療法の実践(処方設計と提案)」(1~4)を用いて面談によりフィードバックした。今回このデータに追加して、薬物療法の実践の工程を情報収集、問題抽出、最適化、評価、計画などに分割し0, 1, 2の三段階で再評価した。これらのデータを2021年度3期までのWEB実習とそれ以降のハイブリッド(以下HB)実習で比較検討した。
【結果】概略評価を用いた評価ではWEB実習で平均1.92、HB実習で平均1.68となった。再評価でも全体的にHB実習の平均値が低くなる傾向であったが、情報収集と論理的アセスメントの工程で特に差が大きくなっていた。全体では、薬物療法の最適化、具体的な解決策立案に対する評価がWEB、HBとも、平均0.6~0.8と他の項目に比べ低い傾向にあった。
【考察】WEBに比べHB実習が低い評価となっていたのは、概略評価と、再評価の情報収集、論理的アセスメントであった。これはWEB実習では実習生に与えられる情報量が限定され症例検討に集中できたことに加え、HB実習では膨大な電子カルテ情報から収集するため、情報の取捨選択が難しかったものと考えられる。また、薬物療法の最適化、具体的な解決策立案については再評価で低い値を示したことから、実習方略を再考すべきである。
【結論】実習途中で定性的な試験を行うことにより、個別に形成的評価をすることができ、実習受入れに対する課題が可視化できるため、有用であると考えられる。