講演情報
[P058]病院のベットサイドでの医療面接に関する仮想現実(VR)コンテンツの制作及び評価
【発表者】三浦 基靖1、河本 小百合1、柏倉 康治1、内田 信也1 (1. 静岡県立大学薬学部実践薬学分野)
【目的】病棟薬剤業務の実施や地域包括ケアシステムへの薬剤師の介入などの薬剤師業務において、患者や医療従事者との円滑なコミュニケーション能力は不可欠となっている。そのため大学では薬学的な専門知識の取得に加え、コミュニケーション能力の向上を目的とした教育の充実が求められている。コミュニケ―ションスキルの習得及び向上において、臨床現場での実践を行える実務実習は効果的な教育手法である。しかし臨床現場での実習には様々な制約が存在する。そこで容易に没入感を体感できる仮想現実(VR)に着目し、病院での薬剤師の医療面接を想定した「病院のベットサイドでの医療面接」を制作し、そのVRコンテンツを評価することを目的とした。
【方法】撮影は静岡県内の総合病院の病室を使用して行った。薬剤師と模擬患者の間に360度カメラ及び収音マイクを設置し、病院のベットサイドにおける薬剤師と患者とのコミュニケーションを撮影した。さらにVRを用いる行事又は演習に参加し、同意の得られた高校生及び薬学部生を対象に本コンテンツを視聴してもらい、「臨場感」、「行為主体感」、「有用性」、「臨床一致性」の項目に関して5-point scaleでアンケート調査を実施した。
【結果】シナリオは、薬剤師が患者に対し血管外漏出の確認や有害作用の聞き取りなどを行うという内容で制作した。患者は尿路上皮癌患者であり、ゲムシタビン・シスプラチン療法の2コース目を実施するために入院し、前日に薬剤の説明を受けているという設定とした。また患者の腕には、針(サーフロー針の先端を切って腕に貼り付け)と投与ルート、生理食塩水100 mLをセットし、抗がん剤が投与されている状況を再現した。今回制作したVRコンテンツの映像時間は4.5分であった。各学年における「臨場感」、「有用性」、「臨床一致性」に関して、5(あてはまる)又は4(ややあてはまる)といった肯定的な評価を行った学生割合は80%以上であった。それに対し薬学部生の「行為主体性」への肯定的な評価は、他の質問に比べて低値(56.3–69.1%)であった。
【結論】病院のベットサイドにおける薬剤師と患者とのコミュニケーションについてのVRコンテンツを制作することができた。本VRコンテンツは大学において病棟の臨場感を提供しつつ、病院薬剤師業務を観察・体感するための有用なツールであると考えられた。
【方法】撮影は静岡県内の総合病院の病室を使用して行った。薬剤師と模擬患者の間に360度カメラ及び収音マイクを設置し、病院のベットサイドにおける薬剤師と患者とのコミュニケーションを撮影した。さらにVRを用いる行事又は演習に参加し、同意の得られた高校生及び薬学部生を対象に本コンテンツを視聴してもらい、「臨場感」、「行為主体感」、「有用性」、「臨床一致性」の項目に関して5-point scaleでアンケート調査を実施した。
【結果】シナリオは、薬剤師が患者に対し血管外漏出の確認や有害作用の聞き取りなどを行うという内容で制作した。患者は尿路上皮癌患者であり、ゲムシタビン・シスプラチン療法の2コース目を実施するために入院し、前日に薬剤の説明を受けているという設定とした。また患者の腕には、針(サーフロー針の先端を切って腕に貼り付け)と投与ルート、生理食塩水100 mLをセットし、抗がん剤が投与されている状況を再現した。今回制作したVRコンテンツの映像時間は4.5分であった。各学年における「臨場感」、「有用性」、「臨床一致性」に関して、5(あてはまる)又は4(ややあてはまる)といった肯定的な評価を行った学生割合は80%以上であった。それに対し薬学部生の「行為主体性」への肯定的な評価は、他の質問に比べて低値(56.3–69.1%)であった。
【結論】病院のベットサイドにおける薬剤師と患者とのコミュニケーションについてのVRコンテンツを制作することができた。本VRコンテンツは大学において病棟の臨場感を提供しつつ、病院薬剤師業務を観察・体感するための有用なツールであると考えられた。