講演情報
[SP-2]医学教育における共用試験公的化と卒前卒後一貫教育―薬学教育への示唆―
肥田 典子(昭和医科大学薬学部臨床薬学講座臨床研究開発学部門)

〇略歴:
2001年昭和大学(現・昭和医科大学)薬学部薬学科卒業。2009年鳥取大学医学部医学科卒業。昭和大学横浜市北部病院などで呼吸内科医として臨床経験を積み、2016年昭和大学大学院医学研究科で博士(医学)取得。昭和大学医学部薬理学講座臨床薬理学部門を経て、2024年1月より現職。専門は臨床薬理学、臨床研究方法論。薬剤師・医師の資格を活かし、薬学・医学教育の連携に注力。日本臨床薬理学会認定医・指導医。
2001年昭和大学(現・昭和医科大学)薬学部薬学科卒業。2009年鳥取大学医学部医学科卒業。昭和大学横浜市北部病院などで呼吸内科医として臨床経験を積み、2016年昭和大学大学院医学研究科で博士(医学)取得。昭和大学医学部薬理学講座臨床薬理学部門を経て、2024年1月より現職。専門は臨床薬理学、臨床研究方法論。薬剤師・医師の資格を活かし、薬学・医学教育の連携に注力。日本臨床薬理学会認定医・指導医。
〇本文:
医学教育では、2023年度から共用試験(CBT・OSCE)が公的化され、卒前卒後の一貫した医師養成に向けた重要な転換点を迎えている。医学教育における共用試験公的化の最大の特徴は、共用試験に合格した医学生に「Student Doctor」の称号が与えられ、医師法に基づく医行為の範囲が法的に明確化されたことにある。これにより、臨床実習での医学生の位置づけが明確になり、より実践的な臨床経験を積むことが可能となった。公的化に至るまでには、約15年の試行期間があり、その間に試験の信頼性・妥当性の検証、出題内容の標準化、評価方法の改善などが進められてきた。共用試験公的化後の臨床実習では、基本的診療能力の習得に重点が置かれ、診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)が本格的に導入されている。学生は医療チームの一員として実際の診療に参加し、医師の指導のもとで基本的な医行為を実施する。この経験が卒後の臨床研修へとシームレスにつながることで、医師としての成長が促進されている。また、共用試験の評価内容と国家試験の出題内容の整合性を高める取り組みも進んでおり、知識だけでなく、技能・態度を含めた総合的な評価が重視されている。特に、OSCEでは臨床推論能力やコミュニケーション能力の評価が強化され、医師として必要な実践的能力の習得が促されている。
医学教育と薬学教育では教育制度や歴史的背景に違いがあるが、薬学教育においても、R4改訂版コアカリキュラムに示された薬剤師に求められる基本的な資質・能力を効果的に醸成するためには、共用試験の位置づけを再考する必要があるのではないだろうか。私自身は薬学教育に携わる日は浅いが、医療人養成という共通の目標に向けて、互いの経験から学び合える部分もあるように感じている。本講演では、医学教育における共用試験公的化の背景、実施状況、そして卒前卒後一貫教育への影響について概説し、フロアの皆さんと共用試験の位置づけをディスカッションする機会としたい。
医学教育では、2023年度から共用試験(CBT・OSCE)が公的化され、卒前卒後の一貫した医師養成に向けた重要な転換点を迎えている。医学教育における共用試験公的化の最大の特徴は、共用試験に合格した医学生に「Student Doctor」の称号が与えられ、医師法に基づく医行為の範囲が法的に明確化されたことにある。これにより、臨床実習での医学生の位置づけが明確になり、より実践的な臨床経験を積むことが可能となった。公的化に至るまでには、約15年の試行期間があり、その間に試験の信頼性・妥当性の検証、出題内容の標準化、評価方法の改善などが進められてきた。共用試験公的化後の臨床実習では、基本的診療能力の習得に重点が置かれ、診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)が本格的に導入されている。学生は医療チームの一員として実際の診療に参加し、医師の指導のもとで基本的な医行為を実施する。この経験が卒後の臨床研修へとシームレスにつながることで、医師としての成長が促進されている。また、共用試験の評価内容と国家試験の出題内容の整合性を高める取り組みも進んでおり、知識だけでなく、技能・態度を含めた総合的な評価が重視されている。特に、OSCEでは臨床推論能力やコミュニケーション能力の評価が強化され、医師として必要な実践的能力の習得が促されている。
医学教育と薬学教育では教育制度や歴史的背景に違いがあるが、薬学教育においても、R4改訂版コアカリキュラムに示された薬剤師に求められる基本的な資質・能力を効果的に醸成するためには、共用試験の位置づけを再考する必要があるのではないだろうか。私自身は薬学教育に携わる日は浅いが、医療人養成という共通の目標に向けて、互いの経験から学び合える部分もあるように感じている。本講演では、医学教育における共用試験公的化の背景、実施状況、そして卒前卒後一貫教育への影響について概説し、フロアの皆さんと共用試験の位置づけをディスカッションする機会としたい。