講演情報
[SP-3]これからの薬剤師に求められる職能と資質―次世代医療への貢献―
武田 泰生(一般社団法人 日本病院薬剤師会)

〇略歴:
1987年 福岡大学大学院薬学研究科博士課程後期修了(薬学博士)、同年米国ワシントン大学留学、1992年 慶應義塾大学医学部助手を経て、2003年に鹿児島大学病院准教授・副薬剤部長に就任、2012年には同大学病院教授・薬剤部長に昇任。現職の日本病院薬剤師会会長には2022年に就任し現在2期4年目に至る。現在、鹿児島大学名誉教授、順天堂大学客員教授他、多くの学会・団体の役員を兼任している。
1987年 福岡大学大学院薬学研究科博士課程後期修了(薬学博士)、同年米国ワシントン大学留学、1992年 慶應義塾大学医学部助手を経て、2003年に鹿児島大学病院准教授・副薬剤部長に就任、2012年には同大学病院教授・薬剤部長に昇任。現職の日本病院薬剤師会会長には2022年に就任し現在2期4年目に至る。現在、鹿児島大学名誉教授、順天堂大学客員教授他、多くの学会・団体の役員を兼任している。
〇本文:
薬剤師の職能は、これまで調剤業務を中心に展開されてきましたが、現代医療の進化と共に「患者中心の薬物治療管理」と「チーム医療への積極的な参画」が不可欠な要素となっています。2020年に厚生労働省で設置された「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」では、薬局薬剤師、病院薬剤師、薬学教育、さらには医薬品製造販売業務に携わる薬剤師の職能のあり方について広範な議論が行われました。その成果として、翌年には中間とりまとめが発出され、以降は「病院薬剤師の不足と地域偏在の解消」「薬局薬剤師業務の見直し」「薬剤師の資質向上」「薬学教育の改革」という4つの分科会を通じ、今後の医療環境に対応可能な高い職能を有する薬剤師の育成に関する制度構築が議論されています。
特に、入院患者から外来患者、さらには今後需要が拡大すると予測される在宅医療において、病院薬剤師は各医療チームの一員として専門性を発揮することが期待されています。これまで以上に精緻な薬物治療管理が求められ、個別化医療の進展や創薬モダリティの高度化・多様化にも対応できる知識と技能が必要となります。DX化が進む医療現場では、医療ビッグデータの統合管理やAIを活用した治療計画の最適化に貢献できる薬剤師の育成が不可欠です。
この変革期において、薬学教育も大きく転換していくことが必要ではないでしょうか。卒前教育においては、最新の医療技術や創薬分野の発展に即応できる柔軟なカリキュラムの設計が求められます。一方、卒後教育では専門医療領域における高度な職能を培うための継続的な研修プログラムの整備が急務です。薬剤師の学びは単なる知識の更新にとどまらず、社会の変化に適応し、新たな医療課題に対応できる実践力の強化が求められています。
病院薬剤師の不足と地域偏在の課題は、医療の地域格差に直結する深刻な問題です。これに対する解決策として、各地域の医療ニーズを踏まえた制度設計と、リーダーシップを持った薬剤師の育成が鍵となります。病院・地域・在宅とシームレスに連携しながら、薬剤師が医療の中核的な役割を果たす未来を実現するために、我々は今、戦略的なアプローチを講じる必要があります。
本講演では、この変革の時代に薬剤師としてどう貢献できるか、病院薬剤師不足・地域偏在の課題から薬学教育の改革へ私見を交えながら概説し、皆様と考えたいと思います。
薬剤師の職能は、これまで調剤業務を中心に展開されてきましたが、現代医療の進化と共に「患者中心の薬物治療管理」と「チーム医療への積極的な参画」が不可欠な要素となっています。2020年に厚生労働省で設置された「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」では、薬局薬剤師、病院薬剤師、薬学教育、さらには医薬品製造販売業務に携わる薬剤師の職能のあり方について広範な議論が行われました。その成果として、翌年には中間とりまとめが発出され、以降は「病院薬剤師の不足と地域偏在の解消」「薬局薬剤師業務の見直し」「薬剤師の資質向上」「薬学教育の改革」という4つの分科会を通じ、今後の医療環境に対応可能な高い職能を有する薬剤師の育成に関する制度構築が議論されています。
特に、入院患者から外来患者、さらには今後需要が拡大すると予測される在宅医療において、病院薬剤師は各医療チームの一員として専門性を発揮することが期待されています。これまで以上に精緻な薬物治療管理が求められ、個別化医療の進展や創薬モダリティの高度化・多様化にも対応できる知識と技能が必要となります。DX化が進む医療現場では、医療ビッグデータの統合管理やAIを活用した治療計画の最適化に貢献できる薬剤師の育成が不可欠です。
この変革期において、薬学教育も大きく転換していくことが必要ではないでしょうか。卒前教育においては、最新の医療技術や創薬分野の発展に即応できる柔軟なカリキュラムの設計が求められます。一方、卒後教育では専門医療領域における高度な職能を培うための継続的な研修プログラムの整備が急務です。薬剤師の学びは単なる知識の更新にとどまらず、社会の変化に適応し、新たな医療課題に対応できる実践力の強化が求められています。
病院薬剤師の不足と地域偏在の課題は、医療の地域格差に直結する深刻な問題です。これに対する解決策として、各地域の医療ニーズを踏まえた制度設計と、リーダーシップを持った薬剤師の育成が鍵となります。病院・地域・在宅とシームレスに連携しながら、薬剤師が医療の中核的な役割を果たす未来を実現するために、我々は今、戦略的なアプローチを講じる必要があります。
本講演では、この変革の時代に薬剤師としてどう貢献できるか、病院薬剤師不足・地域偏在の課題から薬学教育の改革へ私見を交えながら概説し、皆様と考えたいと思います。