講演情報
[SY1-4]未来に繋ぐ薬学教育-実務実習の目的 改訂で何が変わったのか-
大津 史子(名城大学薬学部)

〇略歴:
名城大学薬学部 医薬品情報学 教授
昭和58年 神戸女子薬科大学卒業
昭和61年 名城大学薬学専攻科修了
薬学博士、平成24年度 フジサンケイビジネスアイ主催 第9回日本e-ラーニング大賞 厚生労働大臣賞受賞:「アウトプット訓練のためのシミュレーションシステムe-PDE
名城大学薬学部 医薬品情報学 教授
昭和58年 神戸女子薬科大学卒業
昭和61年 名城大学薬学専攻科修了
薬学博士、平成24年度 フジサンケイビジネスアイ主催 第9回日本e-ラーニング大賞 厚生労働大臣賞受賞:「アウトプット訓練のためのシミュレーションシステムe-PDE
〇本文:
今回のコアカリ改訂において、「臨床薬学という教育体制の構築」が基本方針の一つとして挙げられている。これは、新人研修のような即戦力養成が目的ではなく、疾病の予防や個々の患者に適した責任ある薬物療法を実践できる能力の養成に重点を置き、大学と医療現場が連携した「臨床薬学」教育体制を構築することを求めている。従来のコアカリにおける「F薬学臨床」では臨床現場の「業務を学ぶ」ことに視点が置かれていた。そのため、業務が何のために実施されているかの理解が曖昧になりがちであった。今回の改訂における「F臨床薬学」では、薬物治療を「患者を担当する」という方略で学ぶ方針へと転換した。また、薬剤師に求められる基本的な10の資質・能力のうち、9項目は医師・歯科医師と共通化がはかられた。残りの1つ「薬物治療の実践的能力」は薬剤師固有の能力として定義されている。これは、薬物治療を主体的に計画・実施・評価し、適切な医薬品供給、状況に応じた調剤や薬学的管理が薬剤師の職能であるとの教育的合意が得られたことを意味する。
今回の改訂に伴い、この「F臨床薬学」の学修をどのように進めるかの共通理解を促進するため「臨床における実務実習のガイドライン」も策定されている。フェーズ1:大学での実習前学修として、症例を用いた薬物治療の個別最適化訓練を行い、フェーズ2:医療現場での実務実習では大学での学びを基盤に患者を継続的に担当し、個別最適化医療の実践を経験する。さらに、フェーズ3:大学での実習終了後の学修では、臨床能力の深化・一般化を図り、薬物治療の高度化や臨床課題の解決能力の向上を目指す。そのために、ガイドラインには、実務実習での標準的な実習内容(例示)とその学修成果の評価を行うためのルーブリックが用意されている。これは、フェーズ1-3まで通して利用することを想定している。つまり、本改訂における最大の変更点は、「主に薬剤師業務を学ぶ」から「主に薬物治療を学ぶ」への転換である。薬物治療を主体的に計画・実施・評価する能力を身につけるためには、服薬指導を何人に行ったかではなく、臨床現場で実際の患者を担当し、その患者における最適な薬物治療が何かを常に考え実践する必要がある。この経験を繰り返すことで、概念化が進み、一般化できるようになる。これが求める「薬物治療の実践的能力」の修得につながると考える。
今回のコアカリ改訂において、「臨床薬学という教育体制の構築」が基本方針の一つとして挙げられている。これは、新人研修のような即戦力養成が目的ではなく、疾病の予防や個々の患者に適した責任ある薬物療法を実践できる能力の養成に重点を置き、大学と医療現場が連携した「臨床薬学」教育体制を構築することを求めている。従来のコアカリにおける「F薬学臨床」では臨床現場の「業務を学ぶ」ことに視点が置かれていた。そのため、業務が何のために実施されているかの理解が曖昧になりがちであった。今回の改訂における「F臨床薬学」では、薬物治療を「患者を担当する」という方略で学ぶ方針へと転換した。また、薬剤師に求められる基本的な10の資質・能力のうち、9項目は医師・歯科医師と共通化がはかられた。残りの1つ「薬物治療の実践的能力」は薬剤師固有の能力として定義されている。これは、薬物治療を主体的に計画・実施・評価し、適切な医薬品供給、状況に応じた調剤や薬学的管理が薬剤師の職能であるとの教育的合意が得られたことを意味する。
今回の改訂に伴い、この「F臨床薬学」の学修をどのように進めるかの共通理解を促進するため「臨床における実務実習のガイドライン」も策定されている。フェーズ1:大学での実習前学修として、症例を用いた薬物治療の個別最適化訓練を行い、フェーズ2:医療現場での実務実習では大学での学びを基盤に患者を継続的に担当し、個別最適化医療の実践を経験する。さらに、フェーズ3:大学での実習終了後の学修では、臨床能力の深化・一般化を図り、薬物治療の高度化や臨床課題の解決能力の向上を目指す。そのために、ガイドラインには、実務実習での標準的な実習内容(例示)とその学修成果の評価を行うためのルーブリックが用意されている。これは、フェーズ1-3まで通して利用することを想定している。つまり、本改訂における最大の変更点は、「主に薬剤師業務を学ぶ」から「主に薬物治療を学ぶ」への転換である。薬物治療を主体的に計画・実施・評価する能力を身につけるためには、服薬指導を何人に行ったかではなく、臨床現場で実際の患者を担当し、その患者における最適な薬物治療が何かを常に考え実践する必要がある。この経験を繰り返すことで、概念化が進み、一般化できるようになる。これが求める「薬物治療の実践的能力」の修得につながると考える。