講演情報

[SY2-4]学生および卒後の薬剤師に対する大学教員の関わり

向井 啓(摂南大学薬学部)
〇略歴:
2001年3月 名城大学 卒業
2003年3月 名城大学 修士課程修了
2007年3月 千葉大学 博士課程終了
2007年4月~2008年3月 千葉県がんセンター 研究員
2008年4月~2010年3月 産業技術総合研究所 特別研究員
2010年4月~2016年3月 神戸大学医学部付属病院 薬剤師
2016年4月 摂南大学 薬学部 准教授
現在に至る
〇本文:
 薬剤師を取り巻く環境は、高齢化社会の進展、医療技術の高度化、そして次々と登場する新規医薬品によってその複雑性を増している。このような状況下において薬剤師は、多岐にわたる疾患や治療法を深く理解し、最新の薬物療法に対応していくための持続的な成長が不可欠である。薬剤師に求められる像としては様々なものがある。例として、患者一人ひとりの状態を的確に把握し根拠に基づいた薬物療法を提供できる深い知識と技能を持つ薬剤師、高い倫理観と専門性を有し医師や看護師をはじめとする多職種とのチーム医療に貢献できる薬剤師、そして自ら学び続ける姿勢を持ち積極的に課題解決のための提案を行うことができる薬剤師などが挙げられる。
 しかしながら、これらの理想とされる薬剤師像への成長は、個人の努力だけでは困難な側面も存在する。特に、臨床の現場で直面する複雑な症例や、最新の医療知識の習得においては、各成長段階に応じた適切な導きが不可欠である。また学部生にとっては、大学教員による体系的な知識の伝授や、処方箋解析および症例検討といった実践的な学びの機会が、臨床への橋渡しとなる重要なステップとなる。さらに新人薬剤師にとっては、先輩薬剤師からの実務指導や、多様な症例への対応を通じた経験の蓄積が自信と専門性を高める上で不可欠である。そのうえで、より高度な専門性を追求し、研究活動を通じて医療の発展に貢献したいと考える薬剤師にとっては、大学院進学という道があり、学部生においても早期から研究に触れることで将来のキャリアパスを考える上で貴重な経験となる。
 そこで本発表では、病院薬剤師と大学教員が連携して部生から薬剤師までシームレスで指導し成長を促す過程を紹介する。具体的には、学部生に対する処方箋解析および症例検討などの取り組みと新人薬剤師への教育、北野病院薬剤師の大学院進学および学部生の大学院進学について、それぞれの目標設定と実施内容などについて紹介する。