講演情報
[SY3-3]プロフェッショナリズムの視点をふまえた授業の一例
中田 亜希子(東京理科大学薬学部)

〇略歴:
博士(医学)東京理科大学薬学部 准教授 実務薬学・臨床薬学研究室
東邦大学薬学部を卒業後、製薬企業、薬局、病院薬剤科に従事。青山学院大学大学院(修士)、東京大学大学院(専門職修士)で学び、昭和大学薬学部助教を経て、東邦大学大学院医学研究科(博士課程)に進学。その後同大学医学教育センターの教員として勤務した。専門は生命倫理学、医学教育学。特に医療倫理、研究倫理の教育を大きなテーマとしている。
博士(医学)東京理科大学薬学部 准教授 実務薬学・臨床薬学研究室
東邦大学薬学部を卒業後、製薬企業、薬局、病院薬剤科に従事。青山学院大学大学院(修士)、東京大学大学院(専門職修士)で学び、昭和大学薬学部助教を経て、東邦大学大学院医学研究科(博士課程)に進学。その後同大学医学教育センターの教員として勤務した。専門は生命倫理学、医学教育学。特に医療倫理、研究倫理の教育を大きなテーマとしている。
〇本文:
薬学教育モデル・コア・カリキュラム(以下、コアカリ)の令和4年度改訂版では、薬剤師として求められる基本的な資質・能力の筆頭に「プロフェッショナリズム」が、2番目に「総合的に患者・生活者をみる姿勢」が挙げられている1)。プロフェッショナリズムとは「公衆が医師に対して抱く信頼を裏付ける一連の価値観、行動、関係性」と記されている2)。したがって、価値観が対立するような場面で薬剤師としてどうふるまうかを問いかける倫理教育は、薬剤師のプロフェッショナリズム教育に繋がるものと考えることができる。
総合的に患者・生活者をみる姿勢について、コアカリでは「患者や生活者の立場を相手の置かれた状況とともに捉え、利他的な態度でその権利や尊厳を尊重すること」としている。平成25年度改訂版のコアカリでは、薬剤師として求められる基本的資質に「患者・生活者本位の視点」が挙げられているが、本質は同じであると考えられる。
近年はこうした教育に、多様性やダイバーシティの尊重も加える必要がある。誰にとっても医療は欠かせないものであるが、性的マイノリティ(LGBTQ)の人は、そうでない人と比べて種々の身体的・精神的疾患の高いリスクを有することが指摘されている3)。背景には社会的偏見・差別があり、医療者も例外ではないことが報告されている3)。
報告者は、LGBTQを深く理解している医療者を招聘して、LGBTQの患者・生活者を総合的にみる姿勢、患者・生活者本位の視点を養うための授業を計画した。当該対象学年は平成25年度改訂版コアカリの適用であるが、医療者の視点を踏まえた授業となるように演者に依頼し、科目名「薬学と社会」の中の1コマとして計画した。本シンポジウムでは、上記の取り組みについて報告する。こうした医療者としての適切なふるまいに関する教育についてご意見をいただければ幸いである。
引用文献
1) 薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)
2) 宮田靖志. プロフェッショナリズム教育, 日本医学教育学会[監] 日本医学教育学会 広報・情報基盤員会[編] 医学教育白書2022年版(’19~’22)。篠原出版社;東京都, 2022.
3) 吉田絵理子. 医療者がLGBTQについて知っておくべき知識―医療倫理の観点から考える医療へのアクセスの公平性―.日整会誌 2024; 98(8):S1712(会議録).
薬学教育モデル・コア・カリキュラム(以下、コアカリ)の令和4年度改訂版では、薬剤師として求められる基本的な資質・能力の筆頭に「プロフェッショナリズム」が、2番目に「総合的に患者・生活者をみる姿勢」が挙げられている1)。プロフェッショナリズムとは「公衆が医師に対して抱く信頼を裏付ける一連の価値観、行動、関係性」と記されている2)。したがって、価値観が対立するような場面で薬剤師としてどうふるまうかを問いかける倫理教育は、薬剤師のプロフェッショナリズム教育に繋がるものと考えることができる。
総合的に患者・生活者をみる姿勢について、コアカリでは「患者や生活者の立場を相手の置かれた状況とともに捉え、利他的な態度でその権利や尊厳を尊重すること」としている。平成25年度改訂版のコアカリでは、薬剤師として求められる基本的資質に「患者・生活者本位の視点」が挙げられているが、本質は同じであると考えられる。
近年はこうした教育に、多様性やダイバーシティの尊重も加える必要がある。誰にとっても医療は欠かせないものであるが、性的マイノリティ(LGBTQ)の人は、そうでない人と比べて種々の身体的・精神的疾患の高いリスクを有することが指摘されている3)。背景には社会的偏見・差別があり、医療者も例外ではないことが報告されている3)。
報告者は、LGBTQを深く理解している医療者を招聘して、LGBTQの患者・生活者を総合的にみる姿勢、患者・生活者本位の視点を養うための授業を計画した。当該対象学年は平成25年度改訂版コアカリの適用であるが、医療者の視点を踏まえた授業となるように演者に依頼し、科目名「薬学と社会」の中の1コマとして計画した。本シンポジウムでは、上記の取り組みについて報告する。こうした医療者としての適切なふるまいに関する教育についてご意見をいただければ幸いである。
引用文献
1) 薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)
2) 宮田靖志. プロフェッショナリズム教育, 日本医学教育学会[監] 日本医学教育学会 広報・情報基盤員会[編] 医学教育白書2022年版(’19~’22)。篠原出版社;東京都, 2022.
3) 吉田絵理子. 医療者がLGBTQについて知っておくべき知識―医療倫理の観点から考える医療へのアクセスの公平性―.日整会誌 2024; 98(8):S1712(会議録).