講演情報

[SY5-1]SRHR/性差を意識した薬剤師対象のプレコンセプションケア教育を目指して~変革する日本の制度をふまえて~

宮原 富士子(NPO法人HAP/ケイ薬局/日本女性医学学会)
〇略歴:
1981年  東京薬科大学薬学部 卒業
1981年~2000年 日本チバガイギー(現ノバルティスファーマ)勤務
2001年~ (株)ジェンダーメディカルリサーチ設立 代表取締役社長
2002年~ 東京都台東区ケイ薬局勤務 現在は薬局長 (在宅担当)薬剤師
2013年~ 特定非営利活動法人Healthy Aging Projects for Women理事長
2022年  令和4年度母子保健家族計画事業 功労者厚生労働大臣表彰 受賞
〇本文:
当事者年代である、薬学部学生に対して、SRHR(性と健康の権利)、性差医療・性差医学、プレコンセプションケア教育(包括的性教育含)の情報提供・啓発を行うことは大変意義があることです。
宮原は東京薬科大学において2年生の選択授業でシリーズの授業、帝京平成大学で6年生対象の単会授業を毎年行っています。最初は、こうゆう授業をどのように選択してくるのか、受け入れられるのかと心配な点も多々ありましたが、授業の終わりのころの一体感、あるいは個別の相談などから垣間見れるものは、人生のどこかにおいて必ず持ち合わせてほしい時間と情報なのだろうという確信を得るようになってきています。自分自身のことに関して考える時間、パートナーとの出会いや付き合いにおいて一つ一つの選択について考える時間、将来の自分のライフワークバランスと自分の生き方について考える時間をゆっくり持つことの大切さを講師である自分自身からも、重要な時間だと認識できるようになってきました。それほど難しい内容を伝達するわけではありません。1回聞けばそうだったのか、そうなのかと思う情報であっても聴くのと聴かないのでは人生に与える影響は大違いなのでしょう。今は、動画も活用でき、同じ動画をみた学生同士が話し合うという場面も多いのですが、そもそもコロナ災禍を経て対話が苦手、対話に遠慮がある学生がいる環境の中でも少しずつ心がほぐれていくような緊張が解けてゆくようなそんな空気が毎回漂ってきます。大学の時代にプレコンセプションケア教育を我がこととして受けて身に着けることは、とても大事なことなのだと思います。授業は、プレコンセプションケア、SRHRに始まり、緊急避妊薬、HPVワクチン、人生のライフリスク、将来薬剤師として何ができるのか(月経、妊娠、避妊、不妊治療、更年期、健康寿命の延伸、アスリートへの支援)、性暴力被害の実態、被害を受けた人への支援、ジェンダーギャップ ジェンダードイノベーション、食習慣、ロコモティブシンドローム 自分を知る(セルフアセスメント)、がん教育 AYA世代への支援、親の世代・祖父母のことを考える 日本の介護保険制度、総合討議 将来の医療人・薬剤師として取り組みたいことと進みます。人生を濃縮したような時間を、これからを担う若者たち同士が話し合う姿はとても力強いものだと感じます。当日はその一端を紹介したいと思います。