講演情報
[SY5-2]薬学生を対象としたSRHR/ 性差を意識したプレコンセプションケア教育ーリプロダクティブヘルス教育を行う教員の立場からー
田村 和広 (東京薬科大学内分泌薬理学教室)

〇略歴:
1985年 東京薬科大学 薬学部 衛生薬学科卒業
1987年 東京薬科大学大学院・薬学専攻修士課程 修了
1993年 東京医科歯科大学医学部大学院・医学研究科 博士課程 修了
~1995年 米国カンザス大学医学部Women’s Research Institute, 博士研究員
1995年 東京薬科大学第二薬理学教室(現 内分泌薬理学教室)助手
2019年~ 東京薬科大学 薬学部 教授 (東京医科大学 客員教授、
日本胎盤学会 常任理事、日本生殖内分泌学会 副理事長)
1985年 東京薬科大学 薬学部 衛生薬学科卒業
1987年 東京薬科大学大学院・薬学専攻修士課程 修了
1993年 東京医科歯科大学医学部大学院・医学研究科 博士課程 修了
~1995年 米国カンザス大学医学部Women’s Research Institute, 博士研究員
1995年 東京薬科大学第二薬理学教室(現 内分泌薬理学教室)助手
2019年~ 東京薬科大学 薬学部 教授 (東京医科大学 客員教授、
日本胎盤学会 常任理事、日本生殖内分泌学会 副理事長)
〇本文:
日本では人口減少と医療資源の縮小が進む中、若い世代への健康支援の重要性が高まっている。特に、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)を尊重し、生涯全体を視野に入れたプレコンセプションケア(以下、プレコン)教育の充実が求められる。薬剤師は地域包括ケアを担う身近な健康専門家として、正確な情報提供や健康相談を担うが、現在の薬学教育では生殖内分泌や性差医療に関する体系的な教育が十分ではない点が課題である。
本学の「リプロダクティブヘルス(女性薬学)教育プログラム」では、講義と演習を実施し、受講生へのアンケート調査を行った。その結果、多くの学生がプレコンの概念を講義前は知らなかったものの、授業を通じて意義を理解し、約70%が薬剤師として女性の健康支援に関心を示した。また、学園祭のイベントテーマとしてプレコンを取り上げる学生の提案もあり、少なくとも一部の学生には学習意欲の向上が確認された。
SRHRや性差医学を意識した教育は、学生の健康観やライフプランの形成に寄与し、薬剤師として地域住民へ適切な健康支援を提供する基盤を築く。薬学教育の発展に向け、①プレコンを単なる妊活準備に留まらず「若者全体の健康づくり」として位置づけること、②SRHRを人権の視点から理解し、多様な生き方を尊重した健康支援能力を養うこと、③生殖医療や女性特有の疾患、性感染症に関する専門知識に加え、倫理的課題への対応力や多職種連携スキルを育成することが求められる。健康サポート薬局での実践や、がん・生殖医療、緊急避妊薬の提供時における薬剤師の役割などの具体例を提示することで、学生のスキル向上につながる。
これらの体系的教育により、薬学生は幅広いリプロダクティブヘルス課題に対応できる専門家へと成長し、社会貢献できる薬剤師の育成が期待される。今後も教育カリキュラムのさらなる充実を図り、薬剤師の役割強化を図ることが重要である。
日本では人口減少と医療資源の縮小が進む中、若い世代への健康支援の重要性が高まっている。特に、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)を尊重し、生涯全体を視野に入れたプレコンセプションケア(以下、プレコン)教育の充実が求められる。薬剤師は地域包括ケアを担う身近な健康専門家として、正確な情報提供や健康相談を担うが、現在の薬学教育では生殖内分泌や性差医療に関する体系的な教育が十分ではない点が課題である。
本学の「リプロダクティブヘルス(女性薬学)教育プログラム」では、講義と演習を実施し、受講生へのアンケート調査を行った。その結果、多くの学生がプレコンの概念を講義前は知らなかったものの、授業を通じて意義を理解し、約70%が薬剤師として女性の健康支援に関心を示した。また、学園祭のイベントテーマとしてプレコンを取り上げる学生の提案もあり、少なくとも一部の学生には学習意欲の向上が確認された。
SRHRや性差医学を意識した教育は、学生の健康観やライフプランの形成に寄与し、薬剤師として地域住民へ適切な健康支援を提供する基盤を築く。薬学教育の発展に向け、①プレコンを単なる妊活準備に留まらず「若者全体の健康づくり」として位置づけること、②SRHRを人権の視点から理解し、多様な生き方を尊重した健康支援能力を養うこと、③生殖医療や女性特有の疾患、性感染症に関する専門知識に加え、倫理的課題への対応力や多職種連携スキルを育成することが求められる。健康サポート薬局での実践や、がん・生殖医療、緊急避妊薬の提供時における薬剤師の役割などの具体例を提示することで、学生のスキル向上につながる。
これらの体系的教育により、薬学生は幅広いリプロダクティブヘルス課題に対応できる専門家へと成長し、社会貢献できる薬剤師の育成が期待される。今後も教育カリキュラムのさらなる充実を図り、薬剤師の役割強化を図ることが重要である。