講演情報
[SY7-2]パフォーマンスの向上を目指した自律的なチーム作りに向けて
◯児玉 典子、安岡 由美(神戸薬科大学)

〇略歴:児玉 典子
1997年に神戸大学大学院自然科学研究科修了後、同大学医学部バイオシグナル研究センター研究員を経て、1999年神戸薬科大学に着任。現在、同大学総合教育研究センター准教授として勤務。認定心理士(日本心理学会)。
〇略歴:安岡 由美
1984年に神戸薬科大学卒業後、1990年から神戸薬科大学 放射線管理室に勤務。1996年に第一種放射線取扱主任者選任、2018年准教授に就任し、現在に至る。2024年に環境大臣表彰。
1997年に神戸大学大学院自然科学研究科修了後、同大学医学部バイオシグナル研究センター研究員を経て、1999年神戸薬科大学に着任。現在、同大学総合教育研究センター准教授として勤務。認定心理士(日本心理学会)。
〇略歴:安岡 由美
1984年に神戸薬科大学卒業後、1990年から神戸薬科大学 放射線管理室に勤務。1996年に第一種放射線取扱主任者選任、2018年准教授に就任し、現在に至る。2024年に環境大臣表彰。
〇本文:
近年の薬学教育では、学習者の課題発見・解決型思考力を高める「主体的な深い学び」に加えて、学習者がお互いに意見を出し合い、課題解決に向けて協同作業を進める「対話的な学び」が強く求められている。協同学習に期待される学習効果として、学力や自尊感情の向上や高次の思考スキルの獲得だけでなく、対人関係、心理的適応、大学への態度の改善が知られているが、これらの学習効果は単にチーム活動を行うだけでは達成できない。質の高い協同学習を行うためには、ジョンソンら(1991)によって提唱された5つの基本的構成要素(相互協力関係・対面的―積極的相互作用・個人の責任・小集団での対人技能・グループの改善手続き)を組み込んだ協同的な学習環境(協同作業場面)に加えて、協同作業における認識(協同作業認識)の個人差を考慮する必要がある。
協同作業認識とは、協同作業は効果的であるという肯定的な認識(協同効用)、一人で作業をすることを好む傾向(個人志向)、協同作業により全員が平等に利益を得ることが難しいという認識(互恵懸念)からなり、協同効用が高い学習者ほど、ディスカッションスキル(積極的な関与と自己主張、雰囲気作り)、信頼受容行為、大学への適応感、自尊心感情が高いことが報告されている。よって、協同学習における協同効用の高い学習者はより高いパフォーマンスが期待できると考えられる。
では、どうやって協同効用の高い学習者を育てるのか?近年、対人とのかかわりに関連した動機づけ研究において、仲間との相互作用に興味や重要性を感じて自律的に協同しようとする動機づけが重要であることが報告されている。自律的動機づけには、仲間とのかかわりに興味や楽しさを見出し、仲間と学ぶこと自体を目的として学ぼうとする「内発的動機づけ」、仲間と協同的に学ぶことに個人的な価値や重要性を見出し積極的にかかわろうとする「同一化的動機づけ」が含まれており、協同学習における肯定的な認識(協同効用)が高い学習者はこの自律的な動機づけによって動機づけられていると考えられている。
本発表では、新入生を対象に実施したチームビルディング研修(自由参加)前後で学習者の協同作業認識を調べた結果をもとに、自律的な動機づけを有するチーム作りに向けて、参加者の皆様とともに考える機会になれば幸いです。
近年の薬学教育では、学習者の課題発見・解決型思考力を高める「主体的な深い学び」に加えて、学習者がお互いに意見を出し合い、課題解決に向けて協同作業を進める「対話的な学び」が強く求められている。協同学習に期待される学習効果として、学力や自尊感情の向上や高次の思考スキルの獲得だけでなく、対人関係、心理的適応、大学への態度の改善が知られているが、これらの学習効果は単にチーム活動を行うだけでは達成できない。質の高い協同学習を行うためには、ジョンソンら(1991)によって提唱された5つの基本的構成要素(相互協力関係・対面的―積極的相互作用・個人の責任・小集団での対人技能・グループの改善手続き)を組み込んだ協同的な学習環境(協同作業場面)に加えて、協同作業における認識(協同作業認識)の個人差を考慮する必要がある。
協同作業認識とは、協同作業は効果的であるという肯定的な認識(協同効用)、一人で作業をすることを好む傾向(個人志向)、協同作業により全員が平等に利益を得ることが難しいという認識(互恵懸念)からなり、協同効用が高い学習者ほど、ディスカッションスキル(積極的な関与と自己主張、雰囲気作り)、信頼受容行為、大学への適応感、自尊心感情が高いことが報告されている。よって、協同学習における協同効用の高い学習者はより高いパフォーマンスが期待できると考えられる。
では、どうやって協同効用の高い学習者を育てるのか?近年、対人とのかかわりに関連した動機づけ研究において、仲間との相互作用に興味や重要性を感じて自律的に協同しようとする動機づけが重要であることが報告されている。自律的動機づけには、仲間とのかかわりに興味や楽しさを見出し、仲間と学ぶこと自体を目的として学ぼうとする「内発的動機づけ」、仲間と協同的に学ぶことに個人的な価値や重要性を見出し積極的にかかわろうとする「同一化的動機づけ」が含まれており、協同学習における肯定的な認識(協同効用)が高い学習者はこの自律的な動機づけによって動機づけられていると考えられている。
本発表では、新入生を対象に実施したチームビルディング研修(自由参加)前後で学習者の協同作業認識を調べた結果をもとに、自律的な動機づけを有するチーム作りに向けて、参加者の皆様とともに考える機会になれば幸いです。