セッション詳細

シンポジウム7
心理学の軌跡2:薬学教育における実践的アプローチ
―協働の鍵を握る力:社会的動機づけで変わる学びの場―

2025年8月24日(日) 9:00 〜 11:00
第5会場(403教室)
代表オーガナイザー:児玉 典子(神戸薬科大学)
共同オーガナイザー:兒玉 安史(広島国際大学 薬学部)
〇概要:
デジタル社会の変化に迅速に対応するには、多様性を受容し多職種連携を円滑に進めることが求められる。その鍵は協働することの重要性の認識と、「積極的に関わりたい」などのように個人の動機がなければ、協働力やコミュニケーション力を修得しても有効に活用されない。本シンポジウムでは、社会的動機づけを考慮した学部教育の必要性について、実習や演習での取り組みを紹介し、心理学の専門家の解説を交えながら意見交換する。
〇詳細:
 デジタル社会の変化に迅速に対応するには、多様性を受容し、多職種連携を円滑に進めることが求められる。その鍵となる協働力やコミュニケーション力は、協働することの重要性の認識と、「積極的にかかわりたい」などのように個人の動機づけがなければ、修得しても有効に活用されない。そこで、本シンポジウムでは、他者とのかかわりに関する「社会的動機づけ」をテーマとして取り上げる。

 心理学における動機づけ(motivation)とは、「目標を持ち、その目標を達成するために行動を起こして、その行動を継続する過程」として定義されている。薬学教育ではこれまで、学習領域での動機づけ(学習動機づけ)は、質の高い学力を育む上で重要と考えられていることから、学習動機づけ理論を薬学教育実践に応用する研究について注目してきた(第9回 日本薬学教育学会大会シンポジウム)。
 一方、「社会的動機づけ」は、友人関係をはじめとした他者とのかかわりに関連した領域を対象とする動機づけであり、自己効力感(他者とかかわる際の自信の程度と関連)や、他者とかかわる理由に関連する自律的動機づけ(興味や楽しさ・価値や重要性)の個人差が他者とのかかわりに影響することが報告されている。また、近年の研究では、協同学習への取り組みに関する動機づけの個人差と学習行動の関係や、自律的な動機づけを支援する観点からも検討されている。

 本シンポジウムの前半(理論編)では、社会的動機づけの研究者である海沼亮先生より「他者とのかかわりに関する社会的動機づけ理論の紹介」についてご講演頂く。そして、後半(実践編)では、協同的に学習する場面における学習者一人一人の協同学習に取り組む理由やフィードバック・ピア評価の捉え方、自己効力感や自律的動機づけを高めるための効果的な支援について提案する。
 最後に、社会的動機づけを考慮した学部教育の必要性について皆様とともに考え、意見交換する機会としたい。

[SY7-0]はじめに

[SY7-1]他者とのかかわりに関する社会的動機づけ理論の紹介

海沼 亮(松本大学 教育学部)

[SY7-2]パフォーマンスの向上を目指した自律的なチーム作りに向けて

児玉 典子、安岡 由美(神戸薬科大学)

[SY7-3]グループ学習の可能性と壁―TBLにおけるピア評価の課題―

山口 雅史、兒玉 安史(広島国際大学 薬学部)

[SY7-4]初年次におけるコミュニケーション教育の効果― 「気づきの体験学習」を導入して ―

岸本 成史(昭和薬科大学)

[SY7-5]事前実習ロールプレイの場面での他者との関り―“自分を知る”そして“他者を知る”―

猪野 彩(神戸薬科大学)

[SY7-6]全体討論