講演情報
[SY7-3]グループ学習の可能性と壁―TBLにおけるピア評価の課題―
◯山口 雅史、兒玉 安史(広島国際大学 薬学部)

〇略歴:山口 雅史
1996年に広島大学大学院医学系研究科修了後、日本シエーリング(株)に勤務。2000年よりManchester Universityを経て、2004年より広島国際大学薬学部に着任。2016年同大学 教授に就任し、現在に至る。
〇略歴:兒玉 安史
2004年に摂南大学大学院薬学研究科修了後、広島国際大学薬学部に着任。助教、講師を経て、2017年同大学 准教授に就任。現在に至る。
1996年に広島大学大学院医学系研究科修了後、日本シエーリング(株)に勤務。2000年よりManchester Universityを経て、2004年より広島国際大学薬学部に着任。2016年同大学 教授に就任し、現在に至る。
〇略歴:兒玉 安史
2004年に摂南大学大学院薬学研究科修了後、広島国際大学薬学部に着任。助教、講師を経て、2017年同大学 准教授に就任。現在に至る。
〇本文:
寿命は長くなる一方であるが、現代社会は短期間に社会・文化の変化が起きている。新しい時代において、若いときに得た知識や技術はすぐに時代遅れになる。このような社会においては、生涯を通じて学び続ける姿勢と、知識を覚えるだけではなく、自ら考える力の涵養が求められる。しかし、従来の子供のための学習では教科中心の講義形式であり、主体的な学びや経験に基づく思考力の育成には限界がある。
特に10代後半以降から始まる成人期において、学習にも転換が必要になる。成人期の教育は自身の興味や関心、問題意識、課題意識が学習の鍵となる。さらに「経験」に基づいた参加型の学習スタイルが効果的であるとされ、グループワークの重要性が増している。
医学教育の現場でもこの考え方に基づき、チーム基盤型学習(Team-Based Learning:TBL)が導入されている。TBLはグループをチームとして位置づけ、学習過程においてメンバーで協働して互いに教えあう過程で知識の定着を促すだけでなく、チームの一員として貢献する能力も身に付ける。本学でも複数の科目でTBLを導入しており、学生からは「予習のきっかけとなる」、「講義より理解しやすい」、「互いに学び合う過程が有意義である」といった肯定的な意見が寄せられている。
一方で、TBLにおける重要な要素であるピア評価には課題も多い。MichaelsenはTBLには参加者同士が評価するピア評価が必須であると提唱している。ピア評価に対するアンケートには「学修意欲を高める」という肯定的な意見があるものの、TBLには満足しているが「ピア評価がなくても学習できる」という否定的な意見がある。青年期の特性から他学生を評価するのに抵抗感を持つ、日本の文化にピア評価は合わないという報告がある。実際、評価が形式的に終始し、学習に対する責任性を補強する、チームのパファーマンスを伸ばす、自分自身の状態を知ることができるという目的が果たせていない。本発表では、TBLにおけるピア評価の実践例と、学生から得られた声をもとにその阻害要因を分析し、課題解決に向けた取り組みの方向性を検討したので紹介したい。
寿命は長くなる一方であるが、現代社会は短期間に社会・文化の変化が起きている。新しい時代において、若いときに得た知識や技術はすぐに時代遅れになる。このような社会においては、生涯を通じて学び続ける姿勢と、知識を覚えるだけではなく、自ら考える力の涵養が求められる。しかし、従来の子供のための学習では教科中心の講義形式であり、主体的な学びや経験に基づく思考力の育成には限界がある。
特に10代後半以降から始まる成人期において、学習にも転換が必要になる。成人期の教育は自身の興味や関心、問題意識、課題意識が学習の鍵となる。さらに「経験」に基づいた参加型の学習スタイルが効果的であるとされ、グループワークの重要性が増している。
医学教育の現場でもこの考え方に基づき、チーム基盤型学習(Team-Based Learning:TBL)が導入されている。TBLはグループをチームとして位置づけ、学習過程においてメンバーで協働して互いに教えあう過程で知識の定着を促すだけでなく、チームの一員として貢献する能力も身に付ける。本学でも複数の科目でTBLを導入しており、学生からは「予習のきっかけとなる」、「講義より理解しやすい」、「互いに学び合う過程が有意義である」といった肯定的な意見が寄せられている。
一方で、TBLにおける重要な要素であるピア評価には課題も多い。MichaelsenはTBLには参加者同士が評価するピア評価が必須であると提唱している。ピア評価に対するアンケートには「学修意欲を高める」という肯定的な意見があるものの、TBLには満足しているが「ピア評価がなくても学習できる」という否定的な意見がある。青年期の特性から他学生を評価するのに抵抗感を持つ、日本の文化にピア評価は合わないという報告がある。実際、評価が形式的に終始し、学習に対する責任性を補強する、チームのパファーマンスを伸ばす、自分自身の状態を知ることができるという目的が果たせていない。本発表では、TBLにおけるピア評価の実践例と、学生から得られた声をもとにその阻害要因を分析し、課題解決に向けた取り組みの方向性を検討したので紹介したい。