講演情報

[SY8-3]薬局・ドラッグストア薬剤師における研修教育の課題と生涯学習支援の現状

樋上 彰子(富士薬品グループ 株式会社ユタカファーマシー 薬剤師ソリューション部調剤教育課)
〇略歴:
2000年  3月 武庫川女子大学薬学部 卒業
2000年  4月 株式会社ユタカファーマシー入社、ドラッグユタカ桂店配属
2006年  6月 ドラッグユタカ宇治黄檗店 店長
2011年  4月 エリア店長、ユニット店長(京都エリア4店舗担当)
2015年  4月 京都大阪ゾーンヘルスエリアマネージャー
2016年  4月 人事部人材教育課係長
2019年10月 調剤事業推進部(現薬剤師ソリューション部) 調剤教育課長
2025年  4月 名古屋市立大学大学院薬学研究科臨床教授
〇本文:
 薬剤師の業務は、対物業務から対人業務へとシフトし、薬という「物」を扱う仕事よりも、「人」と接する仕事に注力すべきであると、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」にも示されています。対物業務から対人業務へシフトさせるためには、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師の活躍が欠かせません。しかしながら、まだまだかかりつけ機能を果たしている薬局が少ないのが実情です。
 かかりつけ薬局・薬剤師としての社会的使命を果たすためには、やはり知識やスキルが必要です。薬剤師も、医師や他の医療従事者と同様、資格を取得してからも生涯学習が必須な資格の一つです。私自身も調剤併設型ドラッグストアの勤務経験にて、その必要性を常に感じています。
 また薬局・ドラッグストアの薬剤師に求められる知識・スキルとしては、医療用医薬品の知識はもちろん市販薬(OTC医薬品)や健康食品・サプリメントなどの知識、またこれらの知識を使ってプライマリケア時の適正なトリアージや薬学的判断を行うための専門的・薬学的知識、医療過誤や調剤過誤等の防止のためのリスクマネジメント、対人業務を進める上でのヒアリング力・対話力、さらに医師やケアマネジャーをはじめとする多職種との連携・コミュニケーション能力など多岐にわたります。
 また、ドラッグストアには、登録販売者や管理栄養士などの資格者も勤務しており、必要に応じて連携をとることで、処方せん調剤に関わる患者だけでなく、地域住民の生活を支えられるかかりつけ薬局・機能の質を高め、また資格者たちを育成していくことも薬剤師に課せられた大きな課題です。
 予防や未病から在宅、介護までの知識・専門的知識と適正な判断・対応ができる薬剤師を育成するためにも、どのような薬剤師の生涯学習支援が必要かを現状の課題と実際の事例も踏まえながら、皆様とともに考えていきたいと思います。