日本デザイン学会第72回春季研究発表大会

基調講演

混沌、複雑さを内包する思考:生成系AI時代のデザインの役割
講演者

津田 一郎
Ichiro TSUDA
 
札幌市立大学 AITセンター 特任教授 
1982年 理学博士(京都大学)
2022年 中部大学創発学術院長


講演要旨:

 生成系AI時代を迎えて、さまざまな場面で新しい考え方が必要とされている。困難に直面した時、従来はその困難な問題を解決することを目指しその方法が開発されてきた。しかしながら、人類の社会構造が複雑化し、地球環境との共存、生成系AI との共存が必須である状況においては、困難な問題は解決不可能に見えることが多く、そこで必要とされる思考はカオスや複雑さを内包し困難さを持ちこたえられるようなレジリエンスを備えたものになるだろう。

 本講演では、カオス力学系、複雑系科学、計算論的神経科学を専門としてきた講演者からみた生成系AI時代のデザインへの期待を述べる。生成系AIの現状とその原理の一端を概観し、複雑系やカオスの基本概念に触れつつ、デザイン思考というものについて考えてみたい。