日本地質学会第132年学術大会

トピックセッション

2022年の東京・早稲田大会から,セッションを「トピックセッション」,「ジェネラルセッション」,「アウトリーチセッション」の3カテゴリに区分し,従来のレギュラーセッションは発展的に解消されました.本大会も上記3つのセッションで構成いたします.

T1 変成岩とテクトニクスT2 マグマ供給系T3 文化地質学
T4 岩鉱の変形と反応T5 沈み込み帯・付加体T6 中琉球地体構造単元
T7 堆積地質学T8 原子力と地質科学T9 ジオパーク
T10 テクトニクスT11 都市地質学T12 地球史
T13 地域地質・層序学T14 九州の火山T15 海域火山と漂流軽石

T1.変成岩とテクトニクス Metamorphic rocks and tectonics

世話人:北野一平*(北海道大学; kitano@museum.hokudai.ac.jp),大柳良介(国士舘大学),森 祐紀(高輝度光科学研究センター)
Convener: Ippei KITANO*(Hokkaido Univ.), Ryosuke OYANAGI(Kokushikan Univ.),Yuki MORI(Japan Synchrotron Radiation Research Institute),

本トピックセッションでは,国内外を問わず変成岩・変 形岩とテクトニクスなどに関連する幅広い研究成果を募集 する.野外調査・岩石や鉱物組織の記載・各種機器分析な どを基本とする岩石学的および構造地質学的研究のみなら ず,地殻・マントルのレオロジーや変成反応の物理化学的 素過程など,様々な手法や規模の視点に立った話題を取り 上げる.微小スケールから大規模テクトニクススケールま で広く対象とし総合的に議論することで,衝突帯や沈み込 み帯などプレート境界で起こる変成・変形作用の包括的理 解に迫る.

招待講演者(予定):川口健太(広島大学,会員)

提案母体:岩石部会

備考:発表言語は日本語を使用するが,英語発表も認める. 同トピックセッションの継続開催を今後も目指しており, 特集号を企画できる目処が立ち次第, 世話人間で協議する ことを考えている.

T2.マグマソース・マグマ供給系から火山体形成・熱水変質まで From magma source and magma plumbing system to volcano formation and hydrothermal alteration

世話人: 齊藤 哲*( 愛媛大学; saito.satoshi.nz@ehime-u. ac.jp),草野有紀(産業技術総合研究所),江島圭祐(山口 大学)
Convener:Satoshi SAITO* (Ehime Univ.) ,Yuki KUSANO(GSJ, AIST), Keisuke ESHIMA(Yamaguchi Univ.)

地球上に見られる多様な火成岩類は,マントル~地殻深部のマグマソース,火山体下のマグマ供給系からマグマ噴出・熱水変質に至る広い環境下でのプロセスを経て形成されたものであり,野外地質調査や観測,各種実験・分析により得られる岩石・鉱物の産状や組織,化学組成などの解析からは,マグマの起源物質,活動規模,固結・冷却年代,温度圧力条件,酸化還元状態,噴火様式,元素移動などについての情報を得ることができる.個々の火山体・深成岩体から火山帯・バソリスまで,また,様々な時代のプレート収束境界・プレート発散境界・プレート内などのマグマ生成場において,発生から定置・固結・変質に至るまでのマグマの物理・化学的挙動や時間スケール,テクトニクスとの相互作用などを明らかにすることは,地球の進化およびダイナミクスの理解に重要である.本セッションでは,多様なテクトニクス場において形成した火成岩体・火成岩類・火山噴出物を対象に,マグマの発生・輸送・分化・定置・噴出・変質といったプロセスにアプローチした研究発表を広く募集する.野外地質学・岩石学・鉱物学・火山学・地球化学・年代学・岩石磁気学・物理探査など様々な視点からの活発な議論を期待する.

招待講演者(予定):西本昌司(愛知大学,会員)

提案母体:火山部会,岩石部会

備考:日本語での発表を基本とするが、英語での発表も認める。

T3.文化地質学 Culture geology

[共催:文化地質研究会]
世話人:森野善広*(パシフィックコンサルタンツ株式会社;yoshihiro.morino@os.pacific.co.jp),坂本昌弥(九州ルーテル学院大学人文学部人文学科),猪股雅美(広島工業大学環境学部地球環境学科)
Convener: Yoshihiro MORINO*(Pacific Consultants Co., Ltd.), Masaya SAKAMOTO (Kyushu Lutheran College), Masami INOMATA (Hiroshima institute of technology, faculty of environmental, Department of Global Environment studies)

文化地質学は人類の文化・文明が,地質とどのように関わってきたか,そして現在もどのように関わっているかを研究する学際的学問分野である.これまでのトピックセッションでは,以下のような研究例が示された.(1)地質を石材など資源として活用した事例研究,(2)考古遺物の成分分析を行った研究,(3)地域の固有文化との関わりを論じた研究,(4)博物館などでの普及・教育実践についての研究,(5)地質に関わる文学の研究,(6)山岳霊場など宗教と地質の関わりを論じた研究,(7)自然災害と文化との関りを論じた研究.今年の大会は熊本で開催されることから,招待講演は阿蘇を中心とした文化的景観,およびこの地域の代表的建造物である石橋に関するテーマで講演者を選定した.今回のセッションでも,熊本・九州を中心に,あるいはこの地域に限定せず,文化・文明と地質との関わり,人・社会の営みと地質との関わり,観光資源としての地質など,地質と人々との関わりについて論じたすべての研究発表を歓迎する.

招待講演者(予定):田中尚人(熊本大学,非会員),一村一博(美里町石橋愛好会,非会員)

T4.岩石・鉱物の変形と反応 Deformation and reaction of rocks and minerals

世話人:向吉秀樹*(島根大学;mukoyoshi@riko.shimane-u.ac.jp),宇野正起(東京大学),奥田花也(海洋研究開発機構)
Convener: Hideki MUKOYOSHI*(Shimane Univ.), Masaki UNO(Univ. of Tokyo), Hanaya OKUDA(JAMSTEC)

鉱物・岩石の変形プロセス(破壊,摩擦,結晶塑性変形)と反応プロセス(続成作用,変成作用,変質作用,交代作用など)は,H2O-CO2流体の関与や元素移動を介してしばしば強く相互作用し,地震,火山活動,グローバル元素循環などの地球内部のダイナミックな現象に大きな影響を与える.本セッションでは,野外調査,化学組成分析,岩石 組織解析,室内変形実験,反応実験,岩石学的・溶液化学的モデリング,組織形成モデリング,統計的データ解析などの近年,発達が著しい様々なアプローチによる最新の成果の発表を歓迎する.表層近傍から,地殻,マントル,プレート沈み込み境界などの様々な岩石・地質体を対象に,地震などの秒スケールからプレート運動などの100万年スケールの変形・反応現象や,また変形と反応を支配するナノからマイクロスケールの素過程から露頭スケール・プレートスケールの構造発達,など様々な時間・空間スケールの地質現象について議論したい.さらに,物質科学的な分析・解析と地球物理観測データと結びつけながら,ダイナミックな固体地球プロセスを理解する新たな展開を期待したい.

招待講演者(予定):氏家恒太郎(筑波大学,会員),亀田純(北海道大学,会員),

提案母体:構造地質部会,岩石部会

T5.沈み込み帯・陸上付加体 Subduction zones and on-land accretionary complexes

世話人:橋本善孝*(高知大学;hassy@kochi-u.ac.jp),坂口有人(山口大学),山本由弦(神戸大学)
Convener: Yoshitaka HASHIMOTO*(Kochi Univ.), Arito SAKAGUCHI(Yamaguchi Univ.), Yuzuru YAMAMOTO(Kobe Univ.)

沈み込み帯・陸上付加体に関するあらゆる分野からの研究を歓迎する.野外調査,微細構造観察,分析,実験,理論,モデリングのみならず海洋における反射法地震探査,地球物理観測,地球化学分析,微生物活動など多様なスケールおよびアプローチに基づいた活発な議論を展開したい.次世代の沈み込み帯・陸上付加体研究者を育てるべく,学生による研究発表も大いに歓迎す る. また,IODP Expedition 405 (東北地方太平洋沖地震後の時空間変化を捉える)が成功裡に完了したところである.その成果を共有し議論したい.

招待講演者(予定):氏家恒太郎(筑波大学,会員)

提案母体:構造地質部会

備考:英語の使用は妨げない.

T6.中琉球の新たな地体構造単元:徳之島帯の特徴と研究課題 A new geotectonic unit in central Ryukyu: characteristics and research scope of the Tokunoshima belt

世話人: 山本啓司*(鹿児島大学;hyam@kagoshima-u. ac.jp),磯﨑行雄(東京大学),堤 之恭(科博)
Convener: Hiroshi YAMAMOTO*(Kagoshima Univ.), Yukio ISOZAKI(Univ. of Tokyo), Yukiyasu TSUTSUMI(National Museum of Nature & Science)

最近,琉球弧中部の徳之島から角閃岩や砂質・泥質片岩からなる高度変成岩類が発見された(Ueda et al., 2018; Yamamoto et al., 2022; 山本ほか, 2024).それらの岩石は角閃岩相の高温部に達し,約17 Maの花崗岩類に貫入されている.原岩に約60 Maの砕屑性ジルコンを含むことから,始新世-漸新世の間に形成された若い広域変成岩類と判断される.この岩体は東西および南北方向に各々 10 kmの幅を持ち,かつ厚さが500 mを越えるクリッペとして,徳之島に広く産する四万十帯の非変成付加体の構造的上位に水平に累重する.西南日本の四万十帯の中にあって極めてユニークなこの地質単元の起源と形成過程は,新生代日本列島の形成史に新たな制限条件を加えようとしている.この特異な変成岩ナップについて,地質学的,岩石学的,地球化

学的,そして年代学的データが新たに得られつつある.本セッションでは,日本列島で最も新しく発見された地体構造単元として識別された徳之島帯について明らかにされつつある多様な野外観察および室内分析データに基づき,西南日本の大規模地質構造およびそれを作ったプレート沈み込み型造山帯について新たな観点から議論し,中生代以降の東アジア大陸との比較・対比について考察する.

招待講演者(予定):宇野正起(東北大学,会員),桑谷立(海洋研究開発機構,会員)

備考:Island Arc特集号の計画有り

T7.堆積地質学の最新研究 Latest Studies in Sedimentary Geology

[共催:日本堆積学会・有機地球化学会・石油技術協会探鉱技術委員会]

世 話 人: 松 本 弾*( 産 業 技 術 総 合 研 究 所;dan- matsumoto@aist.go.jp),白石史人(広島大学),澤田大毅(石油資源開発株式会社)
Convener: Dan MATSUMOTO* (GSJ, AIST), Fumito SHIRAISHI(Hiroshima Univ.),Taiki SAWADA(JAPEX)

 

堆積物や堆積岩(砕屑岩・珪質岩・炭酸塩岩・蒸発岩・石油・石炭など)とそれを構成する物質についての最近の研究成果を対象とし,堆積地質学分野の最新の知見を共有するとともに,今後の展望について議論する.堆積物/堆積岩の形成に関わるプロセス(風化・侵食・溶解・運搬・堆積・沈積・続成作用),堆積物/堆積岩の粒子形態・組織・構造・岩相・層序・堆積相・生物相・環境の物理的・化学的・生物学的・有機地球化学的研究,新たな分析・探査手法などについての研究発表,石油・石炭地質に関する成因・産状・資源量などについての研究発表を募集する.堆積地質学には,堆積物の形成メカニズムやプロセスに迫る基礎研究から,その知見を用いて社会課題の解決にアプローチする応用研究まで幅広い研究トピックが存在する.各分野の研究者がそれぞれの最新成果を発表し議論する機会を設けることで,次世代の新たな研究を生み出す場となることを期待する.

招待講演者(予定):池原 研(産業技術総合研究所,会員),山田泰広(九州大学・英国ロンドン大学,会員)

提案母体:堆積地質部会備考:英語使用可

T8.原子力と地質科学 Nuclear Energy and Geological Sciences

世話人: 竹内真司*( 日本大学;takeuchi.shinji@nihon-u. ac.jp),吉田英一(名古屋大学),梅田浩司(弘前大学)
Convener: Shinji TAKEUCHI*(Nihon Univ.), Hidekazu YOSHIDA(Nagoya Univ.),Koji UMEDA(Hirosaki Univ.)

原子力は,ウラン資源探査,活断層耐震安全性評価,廃棄物地中処分,放射性物質の環境動態や,地下水流動や物質移行挙動,長期変動性など多くの地質科学と関連した分野の課題を有している.本セッションは,このような日本の原子力に関わる地質科学的課題について,地球科学的知見の議論及び関連する学会や研究者間の意見交換を行うことを目的としており,幅広い分野からの参加,発表を歓迎する.特に高レベル放射性廃棄物の地層処分においては,北海道寿都町と神恵内村において2020年11月から開始された我が国初の文献調査結果の報告書が2024年11月に公表され,現在各地で説明会が開催されているところである.さらに佐賀県玄海町においても2024年6月から文献調査が開始された.一方,日本原子力研究開発機構や電力中央研究所,産業技術総合研究所などの地層処分に関わる国の研究開発機関においても地質環境の長期安定性や深地層の研究施設等を利用した研究開発が行われ,サイト特性調査や概要調査,精密調査に関わる多くの知見が蓄積されてきている.本セッションでは,文献調査結果や国の研究開発機関における地層処分に関わる研究開発成果,さらには資源エネルギー庁が実施している沿岸部地質環境調査・処分システム評価統合化技術開発に関する招待講演を含め,原子力分野と地質科学に関する最新の研究事例について広く議論を行う.

招待講演者(予定):井川怜欧(産業技術総合研究所,非会員)

提案母体:環境地質部会

T9.大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク Geopark to enjoy and learn about the earth and human activities

[日本ジオパーク学術支援連合(JGASU),日本ジオパークネットワーク(JGN)]

世話人:松原典孝*(兵庫県立大学;nd5408y@gmail.com),郡山鈴夏(フォッサマグナミュージアム),山﨑由貴子(日本ジオパークネットワーク事務局)
Convener: Noritaka MATSUBARA*(Univ. of Hyogo), Suzuka KOORIYAMA (Fossa Magna Museum) ,Yukiko YAMASAKI (Japan Geoparks Network),

 

ジオパークは,大地とその上に広がる動植物や私たちの生活・文化・歴史を総合的に理解し,楽しみながら学ぶ場であり,各地で教育やジオツアーによる観光などユニークな活動が展開されている.2023年にはIUGSからジオパーク申請における地質遺産の国際的な重要性に関する評価ガイドラインが出され,地質遺産の学術的評価に基づいた分類やその裏付けの基準が厳密に定められた.地質遺産の評価については,例えばジオダイバーシティの中での地質遺産の空間的, 時間的位置づけに関する議論(Portal, et. al., 2024)など,保全や利活用の側面も含めた重要性が議論されており,ジオパーク地域の持続可能な活動のためにも地質学的な調査研究・学術的支援が必要不可欠である.本セッションは,研究者のみならずジオパークの現場で活動している博物館学芸員・ジオパーク専門員・自治体職員・ジオパークガイド等も対象として,ジオパークに関連する幅広い講演を募集したい.本セッションの議論を通じて,日本地質学会としてジオパークの発展に寄与したい.

招待講演者:予定なし

提案母体:日本地質学会ジオパーク支援委員会備考:地質学雑誌特集号の計画あり

T10.テクトニクス Tectonics

世話人: 中嶋 徹*( 富 山 大 学;tnakaji@sus.u-toyama. ac.jp),藤内智士(高知大学),向吉秀樹(島根大学)
Convener: Toru NAKAJIMA(Univ. of Toyama), Satoshi TONAI(Kochi Univ.),Hideki MUKOYOSHI(Shimane Univ.)

テクトニクスは,地球をはじめとする固体天体の岩石圏の動きのことであり,多様な分野のデータにもとづいて議論が行われる.本セッションでは陸上から海洋における野外調査や各種観測,実験や理論などに基づき,日本や世界各地に発達するあらゆる地質体の構造,成因,形成過程や発達史に関する講演を募集する.地質学だけに限らず,地震学・測地学・地形学・岩石学・鉱物学といった幅広い分野からの発表の場を設けることで,それぞれの最新の知見の情報共有を行い,学際的な議論を行うことを目的とする.話題はローカルなものから広域テクトニクスに関するもの まで問わない.例えば,近年の三波川変成帯をはじめとした高圧型変成岩体を対象とした地質調査・岩石学・構造地質学的手法を融合したアプローチにより,プレート沈み込み帯における深部物質循環や地殻の変成作用の時空間分布の理解が大きく進みつつある.その他にも,表層堆積盆に関連する層序学・古地磁気学的研究,古環境や火成活動の変遷史,付加体の形成史,先新生界の新生代変形史・熱史,そして,現在進行している地殻変形や活構造に関するもの,といった多様な研究分野の発表を歓迎する.

招待講演者(予定):遠藤俊祐(島根大学,会員)

提案母体:構造地質部会

T11.都市地質学:自然と社会の融合領域 Urban Geology: Interdisciplinary research on natural and social environments

世話人: 中澤 努*( 産業技術総合研究所;t-nakazawa@ aist.go.jp),北田奈緒子(GRI財団),田村嘉之(千葉県環境財団)
Convener: Tsutomu NAKAZAWA*(GSJ, AIST),Naoko KITADA(Geo-Research Institute), Yoshiyuki TAMURA(Chiba Prefectural Environmental Foundation)

都市は,自然環境と社会環境の接点に存在する複雑なシステムである.自然と社会の相互作用を理解し,レジリエントな都市を実現するためには,地質学をベースとした知識の体系化が必要不可欠である.国連は,持続可能な開発目標(SDGs)の1つに,持続可能な「都市」を挙げている.この目標を達成するために,地質の専門家は,ステークホルダーに必要な専門知識を提供するという重要な役割を担っている.都市の地質情報は,都市の環境保全,防災,インフラの維持に必要な情報である.最近では,国のDX戦略の一環として,スマートシティやデジタルツインの取り組みが行われており,これらを通じて地質情報の社会実装が図られつつある.以上のような観点から,本セッションでは,層序学,第四紀学,堆積学,環境地質学,土木地質学,災害地質学,水文地質学,情報地質学など,都市の地質情報・地質環境に関わるさまざまなテーマの講演を受け付ける.

招待講演者(予定):石原与四郎(福岡大学,会員)

提案母体:環境地質部会,情報地質部会

備考:地質学雑誌特集号の計画あり

T12.地球史 History of Earth

世話人:桑野太輔*(京都大学;kuwano.daisuke.3f@kyoto-u.ac.jp),冨松由希(福岡大学),大山 望(福井県立大学)
Convener: Daisuke KUWANO*(Kyoto Univ.), Yuki TOMIMATSU(Fukuoka Univ.),Nozomu OYAMA(Fukui Pref. Univ.)

地球の大気,海洋,生命圏は,過去46億年の地球史を通して,さまざまな時間スケールで相互に作用しながら大きく変化してきた.こうした変動の痕跡は,地表に露出する岩石や地層,海洋の堆積物,そしてそれらに含まれる化石や化学分析により明らかにされている.このように地質記録を多様な科学的手法を用いて解析することは,過去の地球環境や生命進化の変遷を明らかにするだけでなく,未来の地球環境を予測するための重要な手がかりともなり得る.本セッションでは,研究分野の垣根を越え,特定の時代や手法に限定されることなく,気候変動,地球表層環境の変遷,生物の進化や生態系の変遷,さらにはテクトニクスの解明など,幅広く地球の歴史に関連したテーマの発表を募集する.本セッションを通じて,参加者が多様な研究成果を共有し,最新の知見を基に活発な議論ができる場になることを目指す.特に,大学院生や若手研究者の積極的な参加を歓迎し,異分野の研究者間の連携強化と,今後に繋がる新たな視点やアイデアを発掘できることを期待する.

招待講演者(予定):松本廣直(筑波大学,会員)

提案母体:環境変動史部会

T13.地域地質・層序学:経過と集大成 Regional geology and stratigraphy: Progress and Review

世話人:辻野 匠*( 産業技術総合研究所;t.tuzino@aist. go.jp),佐藤大介(産業技術総合研究所)松原典孝(兵庫県立大学)
Convener:Taqumi TUZINO(GSJ, AIST), Daisuke SATO(GSJ, AIST), Noritaka MATSUBARA(Univ. of Hyogo)

フィールド調査に基礎を置く「地域地質・層序」はほとんど全ての地質学の土台であるが,土台だからこそ成果を公表する場が限られる傾向にある.しかし,フィールドに基礎を置いた地域研究によって地質学が大きく進展している状況は近年でも変わりはない.ここで,「生煮え」の結論がまだ見えていない研究経過を公表し,相互のサイエンスコミュニケーションを図ることによって,フィールドベースの実証的研究の更なる進展が見込まれる.本セッションでは,途中経過の研究のみならず,次世代の研究者のロールモデルとなるようなフィールド研究集大成も歓迎する.

招待講演者(予定):羽地俊樹(産業技術総合研究所,会員)

提案母体:地域地質部会,・層序部会

T14.九州の火山テクトニクス Volcano-tectonics of Kyushu

世話人:辻 智大*(山口大学;t-tsuji@yamaguchi-u.ac.jp)大橋聖和(産業技術総合研究所),大坪 誠(産業技術総合研究所)
Tomohiro TSUJI(Yamaguchi Univ.), Kiyokazu OOHASHI(GSJ, AIST), Makoto OTSUBO(GSJ, AIST)

西南日本火山弧と琉球火山弧の地下にはフィリピン海プレート,深部には太平洋プレートが沈み込んでおり,火山活動との関連性が指摘されている.その西南日本火山弧と琉球火山弧の接合部に位置する九州では,極めて多様な火山活動が認められる.火山フロントにてカルデラ噴火が多発し,背弧域にてアルカリ玄武岩が活動し,それらは時代と共に活動場および性質を変化させてきた.これらの火山 の活動場やマグマの性質の時空間変化を理解することは,世界の沈み込み帯における火山活動の多様性の理解について普遍的価値を提供するだけでなく,将来の火山活動の長期的評価に貢献する.そのためには,沈み込むスラブやマントルの不均質などの深部から地殻浅部で見られる沖縄トラフの拡大,別府-島原地溝等との関係について分野を越えて議論する必要がある.また,火山地域における地殻変動および断層運動像を理解することは将来の断層活動の長期的評価に繋がることから,社会的意義が大きい.本セッションでは,火山学,地質学,岩石学,構造地質学,年代学,地球物理学,測地学等を統合して議論する場を提供し,これらに関する研究発表を広く募る.様々な分野の最新情報を交換することで,現状の到達点や課題を整理し,今後の火山テクトニクスの発展および方針について議論したい.

招待講演者(予定):趙 大鵬(東北大学,非会員),柵山徹也(大阪公立大学,会員)

提案母体:火山部会

T15.海域火山と漂流軽石 Submarine volcano and drifting pumice

世話人:石毛康介*(電力中央研究所;ishige3821@criepi. denken.or.jp)
Convener:Kosuke ISHIGE*(Central Research Institute of Electric Power Industry)

福徳岡ノ場火山2021年噴火では,爆発的噴火に伴う噴煙が成層圏に到達し,南西諸島をはじめとする日本各地に漂着した浮遊軽石が社会的に大きな影響を与えた.さらに,西之島やHunga Tonga–Hunga Haʻapai,硫黄島等の火山が活動を活発化させ,海域火山への関心が高まっている.これらの火山活動は,航空機や船舶,リモートセンシング技術を用いた観測により,噴火規模や噴火様式,噴火推移の特徴,浮遊軽石の漂流過程などの解明が進められている.しかし,陸域火山と比較すると,海域火山の噴火現象の理解や災害対策は依然として困難であるのが現状である.本セッションでは,海域火山の噴火を中心に,海底火山噴火の発生メカニズム,マグマプロセス,噴火様式,噴火推移,噴出物の特性や漂流軽石現象等についての最新の研究成果や監視技術,アウトリーチ活動を共有し,議論する.また,海域火山噴火に限らず,陸域火山における水蒸気プリニー式噴火や漂流軽石現象等に関する研究発表も広く歓迎する.野外地質学や岩石学,鉱物学,火山学,地球化学,リモートセンシング,アウトリーチなど様々な視点からの活発な議論を期待する.

招待講演者(予定):調整中

提案母体:火山部会