講演情報
[C8-04]オーストリア芸術産業博物館と〈単純な家具〉展(1920)第一次世界大戦後ウィーンにおける近代デザイン運動の継続
*角山 朋子1 (1. 神奈川大学 国際日本学部)
キーワード:
"Einfacher Hausrat"、The Museum of Arts and Industries (Vienna)、Österreichischer Werkbund
本研究は、1920年にウィーンの芸術産業博物館にて開催された〈単純な家具〉展に着目し、第一次世界大戦終結から間もない時期の同博物館におけるデザイン啓蒙活動の一端を明らかにする。展覧会は戦後の小市民層の住文化の活性化を目的とし、K・ヴィッツマンらオーストリア工作連盟の建築家やウィーンの製造業者が参加した。会場を支配したのは、新ビーダーマイヤー様式というべき質実な様式であった。〈単純な家具〉展は、小市民層の文化的アイデンティティの形成と日用品の良き「型」の創出への博物館の意気込みがかかったものであり、オーストリアの応用芸術の審美性が強調されたオーストリア美術工芸展(1919)、〈クンストシャウ1920〉(1920)とは異なるアプローチによるオーストリアの近代デザイン運動継続の試みであった。また、ビーダーマイヤー様式はオーストリアの良き市民生活の理想を想起させる様式であり、その引用は、オーストリア=ハンガリー二重帝国解体によってアイデンティティを失った「オーストリア人」に対し、彼らのルーツとしての過去を表象するデザイン行為であったと考えられる。
