講演情報

[D5-04]参加型デザインの実践から、「なにか」はいかに生まれるか?福井県鯖江市における、シェアハウス住民らの創発的過程に関する研究

*森 一貴1 (1. 東北芸術工科大学 デザイン工学部)

キーワード:

Participatory Design、Co-Design、Emergent Process

本研究は、参加型デザインの実践において関与する人々がいかに関わり合い、その結果として「なにか」がどのように生まれるのかを探究し、その内実と意義を考察するものである。具体的には、福井県鯖江市のシェアハウスを参加型デザインの一事例と位置づけ、住民への半構造化インタビューから4つのエピソードを再構成した。そのうちラジオやクラウドファンディングが立ち上がった事例を分析したところ、アクター間で意図や目的が集団的に相互形成されるケースや、能力観が他者のスキルにまたがる形で拡張するケースが確認された。こうした要素が、参加型デザインの内部で「なにか」が生まれる過程を支えていることが明らかになった。これにより、参加型デザインが関係性の密度を高めることで、意図の集団的形成や能力の拡張が偶発的に起こる可能性を耕す行為であることが経験的に示された。また、このような意図や目的の集団性に注目する視点は、既存の参加型デザイン議論において周縁化されてきた、強い意図や目的を持たない人々や非人間が与える影響への再考を促す点でも意義を有している。