講演情報

[PB-34]モノに霊性を見出す装置としてのカプセルトイ都市生活者が失った価値基準を再発見するには

*市川 千馬1、上平 崇仁1 (1. 専修大学 ネットワーク情報学部)

キーワード:

霊性、存在論的デザイン、ギフト・エコノミー

都市に生きる私たちは、数値や効率性を基盤とした近代的な価値観に生きており、「モノ」は管理・制御の対象とされがちである。本研究では、先住民族であるアイヌが⼈間以外のすべてのモノ(動物、植物、⾃然物、⾃然現象、⼈⼯物など)を「カムイ」と呼び、⼈間と同じ魂が宿っているとする価値観を手がかりに、モノに霊性を見出すための手法を探ることを目的とした。その実践として、伝統的なアイヌ⽂化が⽂字を持たず、語り(声に出すこと)を中⼼とした⽂化であったことから着想を得て、オリジナルなカプセルトイの装置を制作し、声を発してカプセルトイと対話をするというルールを提示した。その結果、“霊性”をモノの中に再発見するきっかけは、個人的な行為の中で発生するのではなく、むしろ社会的な文脈の中で生じる傾向があることが示唆された。また、カプセルトイが持つ「願掛け」の性質が回す前の体験者の心持ちに大きく依存する要素であると考え、社会的文脈を考慮しつつ、「カプセルの中身を補充してボックスに返す」という行為に物語性を付与したカプセルトイの構築に基づき、モノに霊性を見出せる装置について検討を進める。