講演情報
[T10-P-6]オマーンオフィオライト蛇紋岩の物性データを用いた独立成分分析によるマントル変質プロセスの抽出
*赤松 祐哉1、大柳 良介2,1、桑谷 立1 (1. 海洋研究開発機構、2. 国士舘大学)
キーワード:
蛇紋岩化、炭酸塩化、マントル、オフィオライト、岩石物性、独立成分分析
蛇紋岩化や炭酸塩化などのマントルの変質状態を地球物理観測から推定するためには、マントルを構成する岩石の物性と変質プロセスの関係を理解する必要がある。しかし、マントルの変質は破壊による空隙形成と水の流入および化学反応が互いにフィードバックを起こしながら進行する複雑な物理化学現象である。そのため、単一の物性に着目してそれらの要因を分離することは難しい。そこで本研究は、多次元の物性データを用いた多変量解析を行うことで、マントルかんらん岩に記録された変質プロセスの分離・抽出を試みた。解析には、ICDPオマーン掘削計画で採取されたオマーンオフィオライト蛇紋岩(194試料)の岩石物性データを用いた。これらの試料で測定された、密度、空隙率、P波速度、電気比抵抗、浸透率、帯磁率、Lab色空間を用いて独立成分分析(ICA)を実施した。その結果、測定された物性のバリエーションは、4つの独立したプロセス(成分)で説明できることが明らかになった。試料の微細組織観察および先行研究による地球化学的データとの比較から、それらのプロセスはそれぞれ、水ー岩石比が低い初期の蛇紋岩化、水ー岩石比が高い後期の蛇紋岩化、磁鉄鉱の形成、およびオフィオライト表層での炭酸塩化に対応することが示唆された。これらの解析により、それぞれの変質プロセスが各種物性に与える影響を定量化することに成功した。
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