講演情報
[J-P-9]圧電効果を用いた岩石中の石英含有についての判定
*中央大学 附属高等学校1 (1. 中大附属高等学校)
研究者生徒氏名:朝倉悠晴
1. はじめに
圧電効果(ピエゾ効果)とは.1880年にキュリー兄弟が石英やトルマリンなど多くの結晶で圧力により電荷が生じることを発見し,この現象に名付けたものである.今日,圧電効果はライター,ラウドスピーカー,信号変換器など数多くの日用品で利用されている.
この現象を用いて,本研究では岩石中に石英を含むものを判別し,さらに石英の含有率の推定が可能かどうかを検証することを目的とする.なお,圧電効果については資料[1]を参考にしている.また石英などの破壊による発光の色に関しては,三井・柳谷(2012)[2]や、簡易的な岩石の発光研究として石川県立七尾高校(2021)の研究例[3]などの先行研究がある.
2. 研究目標
圧電効果を用いた岩石の種類の鑑定が可能かどうかを検証する.
3. 実験方法
はじめは,一定の力で擦り合わせることのできる装置を作ろうと考えたが,岩石が重すぎ固定するのが難しかったため,実験は全て手動によって実施した.
実験方法
22種類の岩石(図1)を用いて,暗い場所でそれぞれの組み合わせで各10回ずつ擦らせ,発光回数を計測した.なお,実験に用いた岩石資料は,入間川周辺・多摩川周辺・筑波山周辺で採集したもの及び各地にて購入したものである.
実験1
22種類の岩石に対して水晶を10回ずつ擦らせ,その発光回数を記録した.(表1)
実験2
22種類の岩石に対してガラスを10回ずつ擦らせ,その発光回数を記録した.(表1)
実験3
22種類の岩石同士を組み合わせで10回ずつ擦らせ,その発光回数を記録した.(表2)
4. 実験結果と考察
4.1.1 実験1および実験2
結果は表1による.
4.1.2 結果と考察1
はじめは水晶に含まれるSiO2(二酸化珪素)が原因だと考えたが,実験より同じSiO2が素材であるガラスと岩石を擦らせたところ,発光しなかったためSiO2を含むもの全てが発光するものではないことがわかった.
これは,ガラスが非結晶であることに関わると思われる.
4.2.1 実験3
結果は表2による.
4.2.2 結果と考察2
岩石同士を擦らせたところ,SiO2が結晶化してできた石英が多く含まれた岩石同士だと確率高く発光した.そのことから岩石同士の発光具合が含まれる石英の量の違いが原因であると考えられ、岩石鑑定の方法の1つとして利用可能であると考えられる.
5. 今後の課題
石英と似た構造をした鉱物,およびこれを含む岩石を用いても発光するのかについて実験することで,発光の原因が結晶の構造の違いにあるかどうかについて考える.
参考文献
[1].TDK ピエゾ技術の基本. https://www.tdk.com/ja/tech-mag/knowledge/089 (参照2024.6.20)
[2].三井雄太・柳谷俊,2012,珪岩・水晶・溶融石英の破壊に伴う発光の色について-結晶の圧電性の寄与-.北海道大学地球物理学研究報告,pp109-115.
[3].石川県立七尾高等学校,2021,石の発光と石の硬度や含まれる鉱物との関係.https://10th-wpisymposium-nanolsi.jp/assets/img/details/pdf/p-27.pdf
キーワード:圧電効果 石英 岩石鑑定
1. はじめに
圧電効果(ピエゾ効果)とは.1880年にキュリー兄弟が石英やトルマリンなど多くの結晶で圧力により電荷が生じることを発見し,この現象に名付けたものである.今日,圧電効果はライター,ラウドスピーカー,信号変換器など数多くの日用品で利用されている.
この現象を用いて,本研究では岩石中に石英を含むものを判別し,さらに石英の含有率の推定が可能かどうかを検証することを目的とする.なお,圧電効果については資料[1]を参考にしている.また石英などの破壊による発光の色に関しては,三井・柳谷(2012)[2]や、簡易的な岩石の発光研究として石川県立七尾高校(2021)の研究例[3]などの先行研究がある.
2. 研究目標
圧電効果を用いた岩石の種類の鑑定が可能かどうかを検証する.
3. 実験方法
はじめは,一定の力で擦り合わせることのできる装置を作ろうと考えたが,岩石が重すぎ固定するのが難しかったため,実験は全て手動によって実施した.
実験方法
22種類の岩石(図1)を用いて,暗い場所でそれぞれの組み合わせで各10回ずつ擦らせ,発光回数を計測した.なお,実験に用いた岩石資料は,入間川周辺・多摩川周辺・筑波山周辺で採集したもの及び各地にて購入したものである.
実験1
22種類の岩石に対して水晶を10回ずつ擦らせ,その発光回数を記録した.(表1)
実験2
22種類の岩石に対してガラスを10回ずつ擦らせ,その発光回数を記録した.(表1)
実験3
22種類の岩石同士を組み合わせで10回ずつ擦らせ,その発光回数を記録した.(表2)
4. 実験結果と考察
4.1.1 実験1および実験2
結果は表1による.
4.1.2 結果と考察1
はじめは水晶に含まれるSiO2(二酸化珪素)が原因だと考えたが,実験より同じSiO2が素材であるガラスと岩石を擦らせたところ,発光しなかったためSiO2を含むもの全てが発光するものではないことがわかった.
これは,ガラスが非結晶であることに関わると思われる.
4.2.1 実験3
結果は表2による.
4.2.2 結果と考察2
岩石同士を擦らせたところ,SiO2が結晶化してできた石英が多く含まれた岩石同士だと確率高く発光した.そのことから岩石同士の発光具合が含まれる石英の量の違いが原因であると考えられ、岩石鑑定の方法の1つとして利用可能であると考えられる.
5. 今後の課題
石英と似た構造をした鉱物,およびこれを含む岩石を用いても発光するのかについて実験することで,発光の原因が結晶の構造の違いにあるかどうかについて考える.
参考文献
[1].TDK ピエゾ技術の基本. https://www.tdk.com/ja/tech-mag/knowledge/089 (参照2024.6.20)
[2].三井雄太・柳谷俊,2012,珪岩・水晶・溶融石英の破壊に伴う発光の色について-結晶の圧電性の寄与-.北海道大学地球物理学研究報告,pp109-115.
[3].石川県立七尾高等学校,2021,石の発光と石の硬度や含まれる鉱物との関係.https://10th-wpisymposium-nanolsi.jp/assets/img/details/pdf/p-27.pdf
キーワード:圧電効果 石英 岩石鑑定
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