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[J-P-16]えっ!?島が浮いてる?浮島現象を科学するⅡ ~シミュレーションから迫る浮島の発生原理~

*熊本県立 宇土高等学校1 (1. 熊本県宇土高等学校)
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研究者生徒氏名:徳丸 亮汰 小林 瑞 本田 琢磨 新宅 草太 米田 直人 村上 聖真 吉田 大暉 西川 幸輝 徳丸 幸樹 堀田 舞衣 橋本 直大 西田 琉花

1 背景・目的
蜃気楼の一種とされる不知火現象の研究を進める中で、浮島現象も蜃気楼であることを知った。そこで、不知火より発生しやすい浮島を観測し、より浮いてみる浮島の発生・観測条件を明らかにしたいと思い研究を始めた。
これまでに浮島の発生・観測条件として以下の3つを明らかにした。①観測点が低い、②海水温と気温の差が大きい③適切な距離である。
今回の研究目的は、以下の3つである。
①観測、再現実験により浮島の発生・観測条件を探る
②シミュレーションにより浮島の発生原理を確認する
③風による蜃気楼への影響を明らかにする。
2 研究内容
A 浮島の発生、観測条件
①野外観測
宇城市不知火町永尾から大島を対象に観測を行った。観測では①夏と冬の違い、②朝と昼の違い、③海岸と観望所の違い、④距離による違い、この4つを比較した。今回観測から浮島の発生・観測条件は①冬(12、1月)の早朝、②海面に近い場所(満潮時の海岸)、③対象まで10km程度ということが分かった。
②再現実験
シリコンラバーヒーターやカメラ温度調節器などを用いて浮島再現装置を作成し、室内で浮島現象の再現を行った。実験から①ヒーターの温度が高いほど浮いて見える、②観測点の高さが低いほど浮いて見えるということが分かった。しかし、ヒーターの温度が高くても観測点の高さが高かったらあまり浮いて見えなかった。このことから、観測点の高さが大きく影響していることがわかり、観測でもこのことを確認することができた。
③光が屈折する範囲
浮島の再現実験において、ヒーターは長ければより浮いて見えるのか、それとも一部だけで十分なのか。装置でヒーターの位置、観測点の高さを変えて浮き具合を調べた。実験から①下位蜃気楼の観測には対象付近の気温差が重要であること、②観測点の高さが高くなると光が屈折する場所が対象側に近づくということが分かった。
B 浮島の発生原理
①温度層の測定
ヒーターの温度によるヒーター上の気温の鉛直分布を高さ1mまで計測した。すると、ヒーターの温度が高くなると気温変化する空気層の厚さが厚くなった。温度変化による密度差で光は屈折するため、蜃気楼が発生する。
②シミュレーションによる説明
実際に観測した状況を再現するために温度プロファイルを作成し、独自のシミュレーションを用いて光路計算を行った。すると、見るものの高さによって見え方が異なることわかり、また、観測点の高さが低いほど消失部・反転部が拡大し、より島が浮いて見えることが分かった。
C 風による影響
再現装置やシミュレーションを用いて風による蜃気楼への影響を調べた。実験は扇風機を用いて①無風、②微風、③弱、④中、⑤強の5つの強さの風を流して行った。実験を行うと、風が強いほど浮き具合が小さくなった。次に、OpenFOAMを用いて流体のシミュレーションを行い、風速①0m、②1m、③1.5m、④2mにおいての温度層の発達を観察した。結果、温度層の厚さは1m>1.5m=2m>0mとなり、浮き具合も1m/sで最大となった。実験とシミュレーションの結果が異なったのは、実験における風が強すぎたためだと考える。
3 まとめ
①発生・観測条件
(1)気温と海水温の差がある…12~1月の早朝
(2)観測点の高さが低い…満潮時の海岸
(3)適当な距離がある…10㎞程度
(4)対象付近の温度差が重要
②発生原理
(1)見るものの高さにより見え方が違う
(2)観測点が低いとより浮いて見える
③風による影響:風速1m/sで浮き具合が最大となる

キーワード:浮島現象、蜃気楼、シミュレーション、再現実験、温度層

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