講演情報
[J-P-18]知らない現象(不知火現象)を科学する5 ~地震により引き起こされる幻の現象~
*熊本県立 宇土高等学校1 (1. 熊本県宇土高等学校)
研究者生徒氏名:米田 直人 村上 聖真 吉田 大暉 西川 幸輝 徳丸 幸樹 堀田 舞衣 橋本 直大 西田 琉花 徳丸 亮汰 小林 瑞 本田 琢磨 新宅 草太
[1:はじめに]
(1)不知火とは
不知火とは1年に1回、八朔(旧暦8月1日)の晩にのみ見られる現象とされており、時間変化で1つの光源が横方向に分裂し、つながって見える蜃気楼の一種と考えられている。
(2)昨年までの成果
幻の現象を見たいと思い研究を始め、今年度で7年目となった。これまで6年間で23回もの観測を行ったが、一度も不知火らしき現象は見られなかった。
しかし、室内での不知火の再現に成功し、左右の温度差と微風が条件であること、シミュレーションを行うことにより近年不知火が見られない主な要因は漁火がないことということが分かった。
[2:目的]
(1)不知火海でしか見られない理由を探る
(2)不知火の野外での観測に成功し、鮮明な写真・動画の撮影を行う
[3:研究内容]
(1)不知火海でしか見られない理由を探る
<再現実験から考える不知火海の地形的特徴>
条件1:潮位変化が大きく、広大な干潟が存在する←異常屈折を引き起こす
条件2:視線方向に何㎞も続く左右の温度差がある←側方蜃気楼を発生させる
条件3:真っ暗な背景←不知火へと発展した光源を際立たせる
A 潮位
日本海側、不知火海側、内海で潮位差を調べた。
→不知火海や有明海、瀬戸内海は日本最大級の干満差を持つ
B 広大な干潟
地理院地図、環境省WebGISを用いて広大な干潟が分布する地域を調べた。
→不知火海、有明海は遠浅の地形で広大な干潟が分布する
C 連続する左右の温度差
不知火の観測場所として知られる永尾から夜に不知火海を望むと、右に温かい海が、左に放射冷却によって冷えた陸が広がっている。
海岸線は日奈久断層によって直線的になっており、干拓前後では変わらないものである。日奈久断層は横ずれ運動をし、さらに海側が深くなるため、山側からの土砂が堆積し、遠浅の干潟地形や広大な干潟が形成されたと考えられる。
Ⅾ 光源の背景
現代の不知火海では観測方面の大島に明るい街明かりが存在するが、干拓によって作られた埋め立て地であるため、かつては真っ暗な背景だったに違いない。
また、不知火現象は有明海でも見られたとされる文献もあるが、島原―熊本間などは背景の街明かりの光が強く、不知火が発生しても不知火海と比較すると目立たなかったため現象の名前が不知火とされているのではないかと考えられる。
(2)不知火を観測するためには?
現在ではもう不知火は見られないのか?と考え、日本蜃気楼協議会の森川浩司さんからいただいたプログラムに、自由に温度を調節できるヒーターを用いた実験から得られた海面上の温度プロファイルを作成したものを入れ、光路を可視化、シミュレーションをした。
様々な条件を変えていく中で光源の高さが低くなると、海面近くの温度変化の影響を受けやすく、より光が曲がることがわかった。
さらに、地元の漁業組合や酒屋さんへの聞き込みから禁漁期間を設け始めてから不知火が見られなくなっているとわかり、不知火の発生・観測には海面に近い光源としての漁火が重要だと考えた。そこで、光源が漁火であった場合でシミュレーションを行うと大鞘川、水無川に漁火があった場合観望所の高さに蜃気楼が見える範囲が来ることが分かった。
[4:まとめ・今後の展望]
(1)まとめ
①地形
不知火海でしか直線的で広大な干潟は形成されず、明瞭な不知火は起こらない。
②光路シミュレーション
現代でも漁火があれば、観望所から不知火が見られるかもしれない。
(2)今後の展望
9月2日に地元の漁師さんの協力で漁火を出し、不知火の観測を行う。
キーワード:不知火現象、シミュレーション、再現実験、干潟、漁火
[1:はじめに]
(1)不知火とは
不知火とは1年に1回、八朔(旧暦8月1日)の晩にのみ見られる現象とされており、時間変化で1つの光源が横方向に分裂し、つながって見える蜃気楼の一種と考えられている。
(2)昨年までの成果
幻の現象を見たいと思い研究を始め、今年度で7年目となった。これまで6年間で23回もの観測を行ったが、一度も不知火らしき現象は見られなかった。
しかし、室内での不知火の再現に成功し、左右の温度差と微風が条件であること、シミュレーションを行うことにより近年不知火が見られない主な要因は漁火がないことということが分かった。
[2:目的]
(1)不知火海でしか見られない理由を探る
(2)不知火の野外での観測に成功し、鮮明な写真・動画の撮影を行う
[3:研究内容]
(1)不知火海でしか見られない理由を探る
<再現実験から考える不知火海の地形的特徴>
条件1:潮位変化が大きく、広大な干潟が存在する←異常屈折を引き起こす
条件2:視線方向に何㎞も続く左右の温度差がある←側方蜃気楼を発生させる
条件3:真っ暗な背景←不知火へと発展した光源を際立たせる
A 潮位
日本海側、不知火海側、内海で潮位差を調べた。
→不知火海や有明海、瀬戸内海は日本最大級の干満差を持つ
B 広大な干潟
地理院地図、環境省WebGISを用いて広大な干潟が分布する地域を調べた。
→不知火海、有明海は遠浅の地形で広大な干潟が分布する
C 連続する左右の温度差
不知火の観測場所として知られる永尾から夜に不知火海を望むと、右に温かい海が、左に放射冷却によって冷えた陸が広がっている。
海岸線は日奈久断層によって直線的になっており、干拓前後では変わらないものである。日奈久断層は横ずれ運動をし、さらに海側が深くなるため、山側からの土砂が堆積し、遠浅の干潟地形や広大な干潟が形成されたと考えられる。
Ⅾ 光源の背景
現代の不知火海では観測方面の大島に明るい街明かりが存在するが、干拓によって作られた埋め立て地であるため、かつては真っ暗な背景だったに違いない。
また、不知火現象は有明海でも見られたとされる文献もあるが、島原―熊本間などは背景の街明かりの光が強く、不知火が発生しても不知火海と比較すると目立たなかったため現象の名前が不知火とされているのではないかと考えられる。
(2)不知火を観測するためには?
現在ではもう不知火は見られないのか?と考え、日本蜃気楼協議会の森川浩司さんからいただいたプログラムに、自由に温度を調節できるヒーターを用いた実験から得られた海面上の温度プロファイルを作成したものを入れ、光路を可視化、シミュレーションをした。
様々な条件を変えていく中で光源の高さが低くなると、海面近くの温度変化の影響を受けやすく、より光が曲がることがわかった。
さらに、地元の漁業組合や酒屋さんへの聞き込みから禁漁期間を設け始めてから不知火が見られなくなっているとわかり、不知火の発生・観測には海面に近い光源としての漁火が重要だと考えた。そこで、光源が漁火であった場合でシミュレーションを行うと大鞘川、水無川に漁火があった場合観望所の高さに蜃気楼が見える範囲が来ることが分かった。
[4:まとめ・今後の展望]
(1)まとめ
①地形
不知火海でしか直線的で広大な干潟は形成されず、明瞭な不知火は起こらない。
②光路シミュレーション
現代でも漁火があれば、観望所から不知火が見られるかもしれない。
(2)今後の展望
9月2日に地元の漁師さんの協力で漁火を出し、不知火の観測を行う。
キーワード:不知火現象、シミュレーション、再現実験、干潟、漁火
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