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[G1-O-3]混同行列を用いた崩壊・地すべりの発生可能性モデルの検証

*菅原 宏1 (1. ベルセッジ・インコーポレイテッド)
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キーワード:

崩壊、地すべり、リスクポテンシャル、混同行列

1.はじめに
 菅原(2022)は,広域に多数の斜面が分布する中で,どの斜面・地域で崩壊・地すべりが発生するのか,その発生可能性のポテンシャルを斜面がどの程度有しているのかを視覚化した崩壊・地すべりの発生可能性リスクを6段階に区分したモデルを示し,実際の個別事例との比較でモデルの妥当性に言及した.
 今回,混同行列を使用して性能指標からモデルの妥当性を検証した.

2.検証手法
 検証に当たっては機械学習的手法の混同行列を導入した.ここでタスクは地すべり崩壊発生可能性を,検証データは研究対象範囲における赤色立体地図(PRIM@10_2016)の判読結果と地すべり地形分布図を,性能指標はメッシュ区画の発生リスクポテンシャル指数(PP)である.
 検証データである赤色立体地図の判読は崩壊地形の抽出を行い,メッシュ内の発生個所数を計数した.また,地すべり地形分布図からはメッシュごとの地すべり土塊数を計数した.
 これらの計数した事象の有無とランクの閾値NであるPPとの関係を,混同行列で正確さ・適合率・再現性(真陽性率)・真陰性率・偽陰性率・偽陽性率を算出した.また,再現性(真陽性率)と偽陽性率からROC曲線をプロットした.

3.結果
 PP値の性能指標の変化は,PP値10を閾値として正確さ・適合率・再現性・偽陽性率が急激に高くなる.一方,真陰性率・偽陰性率は急激に小さくなる.PP値10以下は発生リスクのランクA~Cに相当しており,不安定斜面としては発生リスクのランクC以上を注意すべき斜面として認識できる.
 再現性(真陽性率)と偽陽性率からプロットしたROC曲線は右下側に凸の形状を示している.再現性(真陽性率)が低い場合にPP値が小さく(ランクが高い),偽陽性が高い場合(ランクが低い)にPP値が大きい.これはモデルで示したランク以上に判読等から得た検証データでは崩壊や地すべり地などの不安定斜面が多数存在していることを示している.

主な文献
菅原(2022)崩壊・地すべりの発生可能性リスクモデルの構築,日本地質学会第129年学術大会,G8-O-3.
アジア航測(2016)PRIM@10_2016
防災科研(1999)5万分の1地すべり地形分布図第10集「飯田」図集,防災科研研究資料第189号

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