講演情報
[G-P-13]地すべりにおける地質学的要因の一つとしての粘土質土壌の摩擦特性
*大森 涼生1,2、高橋 美紀2、星住 英夫2、宮川 歩夢2、阪口 圭一2、阿部 朋弥2、大熊 茂雄2、川畑 大作2、宮地 良典2、上原 真一1 (1. 東邦大学、2. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)
キーワード:
地すべり、摩擦、粘土鉱物、塑性図
産業技術総合研究所地質調査総合センターでは、「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業」の一環として斜面災害リスク評価の整備を行っている。地熱や温泉水の影響による岩石の変質(粘土鉱物の生成)は地すべりの要因の一つとして考えられていることから、岩石の変質による粘土鉱物の生成が、土壌の摩擦特性に与える影響を調べる必要がある。この研究では粘土鉱物を含む火山性風化土壌を用いて、摩擦強度とすべりの安定性を評価することを目的とした。使用する試料は、熊本県阿蘇カルデラ西部に位置する地すべり多発地域から採取したもので、火山灰や溶岩が地熱活動によって変質したものである。XRD分析の結果、試料にはスメクタイト、カオリン鉱物(カオリナイトとおそらくハロイサイト)、アルナイト、非晶質シリカ、ガラスが含まれていた。また、各試料の塑性限界(WP)、液性限界(WL)、塑性指数(IP=WL-WP)を測定し、そのデータを塑性図(IP-WLグラフ)にプロットした。塑性チャート上のデータはA-線(Bardet, 1997 Experimental Soil Mechanics)に沿って分布し、ガラス質試料、カオリンに富む試料、スメクタイトに富む試料の順にIPの増加を示した。これらの試料について、常温・1MPa以下の垂直応力下、すべり速度4.8μm/sの含水条件で回転せん断実験を行い、摩擦係数を求めた。その結果、IP、WLが共に高いほど摩擦係数が低下する傾向がみられた。現在は示差熱-熱重量同時分析(TG-DTA)を行い、それぞれの粘土鉱物の定量を行っている。また、摩擦実験後のすべり面の観察を行う予定である。
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