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[G2-O-4]九州-パラオ海嶺沖ノ鳥島の地形・地質特徴

*坂本 泉1、福島 渓斗1、中村 希1、池田 芽生1、横山 由香1 (1. 東海大学)
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キーワード:

沖ノ鳥島、地形、地質

九州パラオ海嶺は,西の四国海盆-パレスベラ海盆と西の西フィリピン海盆に分けるように,ほぼ南北に約3,000km発達している.沖ノ鳥島は,九州−パラオ海嶺の北部〜中央部に位置している.九州−パラオ海嶺は約3,000万年前に四国海盆の東西方向の拡大開始に伴い,伊豆小笠原弧から引き裂かれ,約1,500万年前に現在の位置まで移動したと推定されている(Ishizuka et al., 2023). 2023-24年“いであ(株)”が東京都の「沖ノ鳥島周辺海域の海底地形及び生物相把握のための研究調査」を受託した.本研究では,“いであ(株)”が現地海域調査で得た地形・地質データ(東京都,2023・2024)を使用し,沖ノ鳥島周辺の地形および地質特徴についてまとめたので報告する.沖ノ鳥島の海底地形特徴:沖ノ鳥島周辺海底地形図(海上保安庁,1991)では島周辺に1)北東南西方向を呈した海脚状の高まりが複数平行して発達している.2)島の西側に水深6,000m-2,000m付近まで東西方向に発達した海脚が存在し,島全体にほぼ東西方向に長軸を有している.3)2,000m以浅では急激に傾斜が増し(最大30-45度),明らかに珊瑚礁の発達が推定される.さらに,これまでに“いであ(株)”により得られた地形データから明らかになった水深3,000m以浅の詳細な地形特徴は,1)島西方ではNWW-SEE方向が卓越した海脚(水深2,500-1,700m)が約10km発達し,3つのピーク(比高最大1,000m)が海脚上に発達している.2)島北部斜面は,凹凸の少ない地形が発達するが,対照的に南部には水深1,000m,1,800m,2,500mに地形変換点が存在する.3)島東方域には,別の基盤ブロックが存在し,島西方域と同じNWW-SEE方向の伸びと,ほぼそれに直交するN-S系の伸びが発達している.沖ノ鳥島の地質特徴:調査により,沖ノ鳥島の南に発達する海脚に沿って水深3,000m付近の2地点において採泥(ワニ口採泥器+外部ビデオカメラ)を行った.映像からは,白色の石灰質砂(有孔虫砂)中に表面が黒色のMnクラストまたは黒色にMnコーティングした角礫質の岩石が点在しているのが観察された.また,砂質試料中より数個角張った単斜輝石玄武岩岩片を見つけ出すことが出来た.さらに水深約3,100m付近に白色の岩石片〜ブロック(最大50cm-5m)が点在するのが確認され,本ブロックの一部と思われる試料が採取された.地形・地質から推定される沖ノ鳥島地質構造発達史:1)沖ノ鳥島は地形的特徴からも明らかなように,NE-SW方向の海洋底基盤構造の上に,NE-SWとはほぼ直交するNW-SE方向の圧縮応力を受け,沖ノ鳥島基盤活動(火成活動)が起こったと推定する.この活動は27Ma頃の島弧的活動であると報告されている(Ishizuka et al., 2023).2)沖ノ鳥島が島弧的火山活動により深海部から浅海部へと発達していく過程(現在水深2,500mまで発達した所)で,封圧の減少により,凝灰角礫岩等(臼井,1989)の活動に変化したと推定される.3)沖ノ鳥島基盤火山活動が,海面上(現在の水深2,500-2,000m)に山頂を出したところで,侵食により比較的緩やかな傾斜が発達し,珊瑚が裾野や山頂部に形成されたと推定した.その後沖ノ鳥島山体の相対的な沈降により平頂海山となった.4)水深3,000mでの採泥でも,黒色のMnコーティングを受けた石灰岩や白色の石灰岩が観察された事は,それらがより比較的浅い場から下方へ何かの原因で移動した事が推定される.謝辞 東京都総務局および“いであ(株)”にはこころよく沖ノ鳥島関連観測データを使用させて頂いた.感謝申し上げます。参考文献:海上保安庁(1991)6577号5万分の1沖ノ鳥島周辺海底地形図Ishizuka O.et al., (2023) Geochemistry Geophysics Geosystem, Vol. 12, No.5, 1-40.東京都(2023)https://www.t-borderislands.metro.tokyo.lg.jp/contents/report2022/reportA. pdf東京都(2024)https://www.t-borderislands.metro.tokyo.lg.jp/contents/report2022/reportA-5.pdf臼井朗(1989):工業技術院地質調査所 海底熱水活動に伴う重金属資源の評価手法に関する研究,昭和63年度研究概要報告書,74-93.

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