講演情報
[G6-O-9]2021年熱海土石流災害の発生原因の究明のための地球科学的研究(その3)
*北村 晃寿1 (1. 静岡大学)
キーワード:
現世、熱海、盛土、土石流堆積物、相模湾
2021年7月3日に,静岡県熱海市逢初川源頭部の盛土崩壊による土石流(熱海土石流)は,死者28人,全・半壊家屋64棟の被害をもたらし,相模湾に流入した.著者は,共同研究者と静岡県と熱海市の協力の下,崩壊した盛土の主体である黒色の土砂の特徴とその採集地の特定に関する調査を行うとともに,盛土の流出した海域の堆積物の調査を行ってきた.これらの研究成果は2022年,2023年の日本地質学会で発表しており,今回は,2023年の発表後に得た次の知見を発表する.
(1)黒色の土砂と土石流堆積物は,古生代末期―中生代の放散虫化石を含むチャート岩片を含むので,採集地の一部の後背地にはチャート層が分布する(北村ほか, 2022b).また,現世と前・中期完新世の沿岸性貝類,鮮新世―更新世の海成層由来の軟質泥岩礫を産する(北村, 2022; 北村ほか, 2022a,2024a).これらに加えて,1950年以降の淡水生二枚貝の貝殻が含まれることが判明した(北村ほか, 2024a).したがって,黒色の土砂は,現世の河川・沿岸堆積物,中部完新統の海成層,鮮新・更新統の海成層の堆積物を含む.(2)神奈川県内における海浜・河口の堆積物の分析の結果,黒色の土砂と土石流堆積物から検出されたチャート岩片と同時代のチャート岩片が神奈川県多摩川河口から検出された.したがって,黒色の土砂の一部は多摩川流域から運ばれて来た可能性が高い(北村ほか, 投稿中).(3)盛土の流出した伊豆山港沖の底質は,2023年10月までには土石流の流入前の状態に戻ったと推定される(北村ほか, 2024b).引用文献 北村, 2022, 第四紀研究,61,109-117; 北村ほか, 2022a,第四紀研究, 61, 143-155; 北村ほか, 2022b, 静岡大学地球科学研究報告, 49, 87-95; 北村ほか, 2024a, 静岡大学地球科学研究報告, 51, 1-16; 北村ほか, 2024b, 静岡大学地球科学研究報告, 51, 17-33.
(1)黒色の土砂と土石流堆積物は,古生代末期―中生代の放散虫化石を含むチャート岩片を含むので,採集地の一部の後背地にはチャート層が分布する(北村ほか, 2022b).また,現世と前・中期完新世の沿岸性貝類,鮮新世―更新世の海成層由来の軟質泥岩礫を産する(北村, 2022; 北村ほか, 2022a,2024a).これらに加えて,1950年以降の淡水生二枚貝の貝殻が含まれることが判明した(北村ほか, 2024a).したがって,黒色の土砂は,現世の河川・沿岸堆積物,中部完新統の海成層,鮮新・更新統の海成層の堆積物を含む.(2)神奈川県内における海浜・河口の堆積物の分析の結果,黒色の土砂と土石流堆積物から検出されたチャート岩片と同時代のチャート岩片が神奈川県多摩川河口から検出された.したがって,黒色の土砂の一部は多摩川流域から運ばれて来た可能性が高い(北村ほか, 投稿中).(3)盛土の流出した伊豆山港沖の底質は,2023年10月までには土石流の流入前の状態に戻ったと推定される(北村ほか, 2024b).引用文献 北村, 2022, 第四紀研究,61,109-117; 北村ほか, 2022a,第四紀研究, 61, 143-155; 北村ほか, 2022b, 静岡大学地球科学研究報告, 49, 87-95; 北村ほか, 2024a, 静岡大学地球科学研究報告, 51, 1-16; 北村ほか, 2024b, 静岡大学地球科学研究報告, 51, 17-33.
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン