講演情報
[T16-P-3]モンゴル国ゴビ砂漠上部白亜系土壌性炭酸塩岩のカルサイトU-Pb年代測定
*藤井 雄大1、青木 一勝2、千葉 謙太郎3、Khishigjav TSOGTBAATAR4、Buuve MAINBAYAR4、Batsaikhan BUYANTEGSH4、実吉 玄貴3 (1. 岡山理科大学大学院 理工学研究科、2. 岡山理科大学 基盤教育センター、3. 岡山理科大学 生物地球学部、4. モンゴル科学アカデミー古生物学研究所)
キーワード:
上部白亜系、カルサイト、U-Pb年代測定
モンゴル国ゴビ砂漠に分布する上部白亜系は、保存の良い脊椎動物を産出し、これまで数多くの古生物学的・地質学的研究がなされてきた。一方で、鍵層となり得る火山灰層や微化石による生層序の欠如などにより、化石産地に分布する上部白亜系の層序関係や地質年代の特定が困難であった。この問題を解決するため、近年、現地性カリーチ中の方解石や、恐竜の歯化石を構成する燐灰石に対するU-Pb年代測定法を用いた、モンゴル上部白亜系の地質年代学的研究が行われている(Kurumada et al.2020; Tanabe et al.,2023)。しかし、これら年代測定法を行う際の試料選定が非常に難しい。そこで本研究では、これまでカルサイトU-Pb年代が報告された化石産地に近接し、かつ現地性のカリーチが採取可能な地層を対象に、本手法に適した試料の選定について議論する。ゴビ砂漠東部に分布する上部白亜系Baynshire層の模式地である Bayn Shireは、モンゴルにおいて初めてカルサイトU-Pb年代測定が適用されたKhongil Tsav(Kurumada et al.2020)より20 km南部に位置し、地層は主に砂岩や泥岩からなる河川堆積物で構成される。本研究では、分布する地層の最上位より採取されたカリーチを測定対象とした。一般的な土壌性炭酸塩岩の場合、地表付近の地下水が蒸発する際にカルサイトを晶出すると考えられている。対象としたカリーチは、氾濫原堆積物の最上位層で、かつ直上に河道堆積物が累重することから、現地性のカリーチと判断される。偏光顕微鏡観察から、本試料は主に石英や長石類などより構成される砕屑物の粒子間を多結晶カルサイトが充填し、一部に単結晶カルサイトも存在することが確認された。顕微鏡下で年代測定の箇所を選定した上で、LA-ICP-MSを用いた年代測定を実施した。本発表では、測定結果を報告し、その結果に基づいて試料選定や測定箇所の選定について言及する。
引用文献 : Kurumada et al. (2020). Terra Nova, 32(4), 246-252. Tanabe et al. (2023). Island Arc, 32(1), e12488.
引用文献 : Kurumada et al. (2020). Terra Nova, 32(4), 246-252. Tanabe et al. (2023). Island Arc, 32(1), e12488.
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