講演情報
[G-P-41]喜界島周辺海域における観測地震によるタービダイト層検出の試み―KS-24-4次航海の調査速報―
*中西 諒1、成瀬 元1、喜岡 新3、常岡 廉3、根本 夏林3、藤島 誠也1、佐藤 瑠晟1、天野 敦子2、井尻 暁4、横山 祐典3 (1. 京都大学、2. 産総研、3. 東京大学、4. 神戸大学)
キーワード:
タービダイト、新青丸、琉球海溝、奄美大島、歴史地震
混濁流によって形成されるタービダイトは地震履歴を復元するために用いられる。しかしながら、混濁流は地震動による堆積物の巻き上げのみでなく、洪水や潮位変化といった複数の発生要因が存在する。また、観測が難しいことから、どの程度の揺れで混濁流が発生するかといった堆積メカニズムに関する知見に乏しい。そのため、地震動による混濁流の発生からタービダイトの堆積までのプロセスを理解することで、より確度の高い地震発生間隔や規模の復元が可能となると考えられる。そこで、本報告では観測地震によって形成されたタービダイトの検出を目的とした学術研究船「新青丸」KS-24-4次航海の調査結果を中心に、周辺で得られたコア試料の年代測定結果について述べる。また、調査期間にはM5.6の地震が発生し、近傍における地形探査や採泥を実施したため、これについて報告する。
新青丸KS-24-4次航海では喜界島東に位置する7つの海盆群で採泥が実施され,マルチプルコアラー表層採泥による柱状試料が得られた.これに加えて学術研究船「白鳳丸」KH-23-4で得られたマルチプルコア、および産業技術総合研究所の海洋地質図作製を目的として木下式グラブ採泥器を用いて得られた表層堆積物を検討対象とした。マルチビーム測深の結果については上記の航海で取得されたデータを使用した。タービダイトの堆積年代は210Pbおよび137Cs放射線量から見積もった。測定にあたっては、東京大学大気海洋研究所先端分析研究推進室のゲルマニウム半導体検出器および多チャンネル波高分析器を用いた。
柱状試料として得られた13試料のうち明瞭な砂層が確認できたコアは3試料であり、これらは同一の海盆内のコアである。砂層はいずれも表層付近に2–5cmの層厚で存在し、その堆積年代は1970–1980年代であった。この年代における地震イベントとして1986年のM6.1地震が対応し、これがトリガー候補の一つとして考えられる。観測データが充実してきた1950年代以降について、奄美大島周辺で発生する地震の規模は最大でM7.0程度であり、M6–7でも20回程度は観測されているものの、それらによって形成された砂層は確認されなかった。
航海調査中に発生したM5.6の地震発生14時間後には震源近傍の海盆において採泥を行ったが、その際に記録された深海カメラには海底が懸濁した様子は映されていなかった。また、調査範囲において以前に取得された海底地形データと本航海で取得されたものを比較した結果、目立った崩壊地形などは確認されなかった。M5.5–M6.0という規模の地震は4年に1度という頻度であるが、今回の地震では混濁流イベントは確認できなかった。地震動による混濁流発生はマグニチュードだけでなく、震源深さ・地震タイプといった地震の特性に加えて、供給源となる上流斜面の堆積物の状態が重要であると考えられる。今後は砂層の供給源推定とモデリングとあわせて実際に起源となった斜面を特定し、地震動や斜面堆積物特性といった混濁流発生に必要な条件を明らかにする。
新青丸KS-24-4次航海では喜界島東に位置する7つの海盆群で採泥が実施され,マルチプルコアラー表層採泥による柱状試料が得られた.これに加えて学術研究船「白鳳丸」KH-23-4で得られたマルチプルコア、および産業技術総合研究所の海洋地質図作製を目的として木下式グラブ採泥器を用いて得られた表層堆積物を検討対象とした。マルチビーム測深の結果については上記の航海で取得されたデータを使用した。タービダイトの堆積年代は210Pbおよび137Cs放射線量から見積もった。測定にあたっては、東京大学大気海洋研究所先端分析研究推進室のゲルマニウム半導体検出器および多チャンネル波高分析器を用いた。
柱状試料として得られた13試料のうち明瞭な砂層が確認できたコアは3試料であり、これらは同一の海盆内のコアである。砂層はいずれも表層付近に2–5cmの層厚で存在し、その堆積年代は1970–1980年代であった。この年代における地震イベントとして1986年のM6.1地震が対応し、これがトリガー候補の一つとして考えられる。観測データが充実してきた1950年代以降について、奄美大島周辺で発生する地震の規模は最大でM7.0程度であり、M6–7でも20回程度は観測されているものの、それらによって形成された砂層は確認されなかった。
航海調査中に発生したM5.6の地震発生14時間後には震源近傍の海盆において採泥を行ったが、その際に記録された深海カメラには海底が懸濁した様子は映されていなかった。また、調査範囲において以前に取得された海底地形データと本航海で取得されたものを比較した結果、目立った崩壊地形などは確認されなかった。M5.5–M6.0という規模の地震は4年に1度という頻度であるが、今回の地震では混濁流イベントは確認できなかった。地震動による混濁流発生はマグニチュードだけでなく、震源深さ・地震タイプといった地震の特性に加えて、供給源となる上流斜面の堆積物の状態が重要であると考えられる。今後は砂層の供給源推定とモデリングとあわせて実際に起源となった斜面を特定し、地震動や斜面堆積物特性といった混濁流発生に必要な条件を明らかにする。
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