講演情報

[G-P-14]原石山における定量的な材料評価の試み

*大河内 誠1、横田 崇之2 (1. 特定非営利活動法人ジオプロジェクト新潟、2. 大成建設株式会社)
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キーワード:

原石、骨材、CSG、エコーチップ、コンクリートテスター

 1.はじめに
 原石山における材料判定は,主に地質・土木工学技術者の目視,ハンマー打撃を主体に実施されている.成瀬ダム原石山では,これに加え,エコーチップ,コンクリートテスターによる定量的な数値を用い現場管理を実施してきた.今回その活用事例を報告する.
2.材料区分
成瀬ダム原石山の材料採取対象は,変質輝石安山岩である.これらには,マグマ冷却時の“ガス抜け跡”が存在している.“ガス抜け跡”の量は,吸水率と相関があり,さらに目視で容易に確認できる“白斑量”と相関がある.
原石,CSG材として対象としている岩石は,風化影響の少ない硬さB(ハンマーで金属音)以上の岩石である.この硬さBの岩石を対象に白斑量を目安に0~2材と区分されている(図-1).
白斑量区分と密度・吸水率の関係を図-2に示す.この区分を元に「0材,1材:コンクリート骨材(非耐久性)」「2材:CSG母材」として採取している.
3.補助判断手法(定量化)
現場での迅速な材料判定には,白斑量区分に加え,エコーチップ,コンクリートテスターによる補助判定手法を活用している(帯磁率計,色彩計,成分分析計も検討したが,相関性が低かったことから採用していない).
工事当初,人頭大程度の試料を現場で採取し,以下のながれで補助的手法の検討を実施した.
①白斑量による材料区分
②密度・吸水率確認
③エコーチップ測定
④コンクリートテスター測定
図-3は,材料別の密度・吸水率を示したものである.検討に用いた試料の材料区分は,妥当であると言える.
図-4は,図は,材料別のエコーチップとコンクリートテスターの関係を示したものである.
エコーチップ:i)650以上,ii)400以上
コンクリートテスター:iii)35以上,iV)20以上
両者を重ね合わせ,両方の条件をみたすこととした場合,1計器のデータで存在していた矛盾データはなくなり,補助手法として有効であると判断される.
4.試験結果の解釈
エコーチップで,「650以上に2材が存在」「400以上に廃棄材が存在」という結果については,以下のように推定している.(1)硬質鉱物があった場合,高反発の場合がある.
(2)試料の表面・部分的データを見ている.
コンクリートテスターで「20以上に廃棄材が存在」という結果については,以下のように推定している.
(1)現地では,自然含水状態で試験している(日々の材料判定も同様)が,切羽の状況,掘削の工程により,乾燥状態の岩石が存在し,これを判定する場合がある.
(2)コンクリートテスターは,軟質な(粘土化)試料が,乾燥状態の場合,高めの値を示す(図-5).
なお,エコーチップは,含水状態の影響は顕著ではない(図-6).
5.まとめ
図-5に示すように吸水率10%以上の軟質な材料の場合,乾燥状態では,コンクリートテスターの反発度が大きな値となることがある.エコーチップについては,顕著な差は認められない(図-6).
補助手法の目的は,現場での迅速判断である.含水比調整した試料で試験することは難しい.したがって,エコーチップとコンクリートテスターの併用により対応している.