講演情報
[G-P-16]地質・物理探査の若手技術者育成(基礎講座を通じて)
*山口 悠哉1、鎌田 弘己1 (1. 株式会社地球科学総合研究所)
キーワード:
地球科学系基礎講座、若手技術者育成、地質巡検
株式会社地球科学総合研究所では、地球科学系の教育活動の一環として、地質解析・物理探査技術の基礎を含む専門的な知識・技術の習得を目的とした基礎講座を実施している。本基礎講座の内容は、地質・地化学・物理探査等のデータ処理・解析・評価に関する専門的な講義・演習、エネルギー企業技術研究所でのラボ見学と試料分析実習、坑井計測サービス会社での坑井内電気検層機器見学、当社嵐山研究センターでの物理探査データ取得実習・機器説明・見学、および実データを用いた石油探鉱評価演習、ならびに地質巡検(神奈川・新潟・秋田で堆積岩・火山岩を対象に、石油天然ガスおよび二酸化炭素地下貯留の観点から貯留岩・根源岩・シール岩の代表例を観察)から構成されている。これらの講義・演習等は当社 の事業範囲の多様性を反映するとともに、各講義の講師陣が既存の公開情報のコンパイルだけでなく、自らの業務の実体験を豊富に織り交ぜた、”生きた”講義にしていることが本基礎講座の大きな特徴である。また、講師として、当社の技術者だけでなく業務で培った多方面に及ぶ関係性を活かして、社外からも複数の技術者を招聘することで、講義内容は深く広い範囲をカバーしている。本基礎講座の受講者対象は、物理探査・地質・貯留層エンジニアの新入社員、および入社3年程度までの若手技術者であるが、近年は経験年数10年を超えるような中堅技術者も特定の講義・実習をスポットで受講し、比較的短期間で特定分野の基礎と最新の技術・動向を学べる講座構成・内容となっている。本基礎講座の期間は6月から9月上旬までの約3カ月であり、受講の形態として全期間全科目受講、または特定の講義・演習等のみのスポット受講となる。現在までの本基礎講座における成果として、2015年度開講以来、今年度で10年目となり、多数の地質技術者・物理探査技術者および貯留層エンジニアが受講した。かつての受講生は現在、各社において中堅技術者となり、各社の教育プログラムの責任者となって本基礎講座のさらなる活用に取り組んでいる例も見られるようになった。また、各講義・演習での議論等を通じて技術者同士が会社の垣根を超えて交流したことで、複数社の共同事業で再会した際に、技術的ならびに人間的な背景をお互いに把握していることでスムーズな業務進捗に貢献した例も出てきている。最後に、本年度も先週まで本基礎講座を実施しており、7社計31名が受講した。講座終了後は、受講者および各会社の教育担当者から講座内容等についてフィードバックを得て、それらをもとに既存講座のブラッシュアップ、ならびに二酸化炭素地下貯留といった新しい教育ニーズへのさらなる対応を検討する予定である。併せて、本講演では、地球科学系の若手技術者に対する教育という観点からも、講座内容の更なる改善に関して議論をしたいと考えている。当社は今後も、本基礎講座を通して各社の地質技術者・物理探査技術者が基礎を固め、技術力を向上させていくことに貢献していきたいと考えている。
