日本薬学会第145年会（福岡）

オーガナイザー：猪熊 翼 (徳島大院薬)、田原 淳士 (東北大学)

硫黄原子が直鎖状に連結した構造をもつ分子（超硫黄分子）が生体内に存在し、生命機能を調節する重要な役割を果たすことが、近年の分析技術の進歩により明らかとなった。そのような背景のもと超硫黄分子の機能を、生命との相互作用解析により、生物学的側面から解明する研究が盛んに行われている。一方で、その機能を詳細に理解するには、超硫黄分子そのものを有機化学的側面から俯瞰することが重要である。本シンポジウムでは、超硫黄分子有機化学の黎明期である現在、超硫黄分子を対象とする研究に取り組む４名の有機化学研究者による講演を通じて、その最前線に迫る。具体的には、超硫黄分子の新規合成法の開発や超硫黄分子の生物学的機能を解明するためのケミカルツールの創製、さらに超硫黄分子を用いる有用分子の創出について取り上げ、超硫黄分子有機化学の現状を展望する。