講演情報
[T13-O-6]化石燃料資源の起源と、その探査・開発に関わる地質学的知見
*前田 純二1 (1. なし)
【ハイライト講演】現代社会を支える重要なエネルギー源という側面と,地球温暖化の根源という側面とを併せ持つ化石燃料資源について,発表者の長年の経験知見に基づいた包括的な議論を試みる.さらに,化石燃料資源のノウハウを適用可能なCCSも含めており,今後の同分野発展の礎となる議論になることを期待したい.(ハイライト講演とは...)
キーワード:
化石燃料、続成作用
「化石燃料」(石炭・石油・天然ガスなど)は、地層中に堆積した古代の生物の遺骸がもとになり、その後の続成作用によって形成された燃料資源である。
石炭の起源は、海岸近い湿地帯で樹木が厚く堆積した泥炭層が、上位堆積層の荷重による圧密を受け、また埋没することによって高温にさらされて続成作用(石炭化)が進み、黒色の石炭が形成される。石炭化の進行とともに褐炭~瀝青炭~無煙炭と変化し、光の反射率や熱量が増大する。石炭の形成には3000mないし5000m以上の埋没深度が必要とされる。
石炭の探査は、地表露頭調査やボーリング調査を行って、地層対比や分析試料の採取を行う。十分な質の埋蔵量が確認されると商業開発へ移行し、露天掘や坑内掘を行う。
石炭層は比較的広範囲に連続して賦存し、埋蔵量は、厚さx面積x石炭比重を乗じて原始埋蔵量とし、更に安全率と実収率を乗じて可採埋蔵量とする。世界の可採埋蔵量を年間生産量で割ると可採年数は139年くらいである(2020年)。
石油は、採掘された状態(原油)では黒色・ドロドロの液体である。その起源は、堆積盆地内で石油根源岩を含む地層が堆積し、その後の上位層の堆積により深く埋没することによって温度が上昇し、続成作用(有機熟成)が進行して生成・排出される。その後、石油は背斜構造のような構造的高まりに移動・集積していく。更に埋没続成作用が進むと石油はガスに変化するが、根源岩の種類によっては石油を経ずガスを生成する。近年、石油根源岩層内の原油(シェールオイル)の開発も行われている。
石油・天然ガスの探査は、構造的に高い場所を抽出すべく音波探査を実施する。技術評価により石油・ガス集積の可能性が高まると、地下の岩石や流体を把握するため試掘が実施される。試掘が成功すると更に追加の確認井が掘削され、商業量が確認されれば商業開発へ移行する。商業開発では多くの生産井を掘削し、生産物は処理施設で石油・ガス・水に分離され出荷される。
石油・天然ガスは、砂岩・石灰岩のような空隙(孔隙)のある岩層中に集積している。石油の埋蔵量は、集積構造の面積x油層厚x岩石孔隙率を乗じて求め、孔隙内の水の割合を差引いて原始埋蔵量とし、更に回収率を乗じて可採埋蔵量とする(シェールオイルは別な算定方法)。世界の石油の可採埋蔵量を年間生産量で割ると可採年数は53年くらいになる(2020年)。天然ガスの埋蔵量も同様に原始埋蔵量を求め、回収率を乗じた後、地表条件の容積に換算して可採埋蔵量とする(シェールガスは別な算定)。世界の天然ガスの可採埋蔵量を年間生産量で割ると可採年数は49年くらいになる(2020年)。
化石燃料は古代の生物遺骸から続成作用によって生成した。その探査には地質学の一般的な知見が活用されている。化石燃料は近年、地球温暖化ガスの根源になってきているが、今後も重要性は高い。地球温暖化ガス対策も進行中であり、特に温暖化ガスを地下に貯蔵する技術(CCS)は注目され、今後の進展を期待したい。
石炭の起源は、海岸近い湿地帯で樹木が厚く堆積した泥炭層が、上位堆積層の荷重による圧密を受け、また埋没することによって高温にさらされて続成作用(石炭化)が進み、黒色の石炭が形成される。石炭化の進行とともに褐炭~瀝青炭~無煙炭と変化し、光の反射率や熱量が増大する。石炭の形成には3000mないし5000m以上の埋没深度が必要とされる。
石炭の探査は、地表露頭調査やボーリング調査を行って、地層対比や分析試料の採取を行う。十分な質の埋蔵量が確認されると商業開発へ移行し、露天掘や坑内掘を行う。
石炭層は比較的広範囲に連続して賦存し、埋蔵量は、厚さx面積x石炭比重を乗じて原始埋蔵量とし、更に安全率と実収率を乗じて可採埋蔵量とする。世界の可採埋蔵量を年間生産量で割ると可採年数は139年くらいである(2020年)。
石油は、採掘された状態(原油)では黒色・ドロドロの液体である。その起源は、堆積盆地内で石油根源岩を含む地層が堆積し、その後の上位層の堆積により深く埋没することによって温度が上昇し、続成作用(有機熟成)が進行して生成・排出される。その後、石油は背斜構造のような構造的高まりに移動・集積していく。更に埋没続成作用が進むと石油はガスに変化するが、根源岩の種類によっては石油を経ずガスを生成する。近年、石油根源岩層内の原油(シェールオイル)の開発も行われている。
石油・天然ガスの探査は、構造的に高い場所を抽出すべく音波探査を実施する。技術評価により石油・ガス集積の可能性が高まると、地下の岩石や流体を把握するため試掘が実施される。試掘が成功すると更に追加の確認井が掘削され、商業量が確認されれば商業開発へ移行する。商業開発では多くの生産井を掘削し、生産物は処理施設で石油・ガス・水に分離され出荷される。
石油・天然ガスは、砂岩・石灰岩のような空隙(孔隙)のある岩層中に集積している。石油の埋蔵量は、集積構造の面積x油層厚x岩石孔隙率を乗じて求め、孔隙内の水の割合を差引いて原始埋蔵量とし、更に回収率を乗じて可採埋蔵量とする(シェールオイルは別な算定方法)。世界の石油の可採埋蔵量を年間生産量で割ると可採年数は53年くらいになる(2020年)。天然ガスの埋蔵量も同様に原始埋蔵量を求め、回収率を乗じた後、地表条件の容積に換算して可採埋蔵量とする(シェールガスは別な算定)。世界の天然ガスの可採埋蔵量を年間生産量で割ると可採年数は49年くらいになる(2020年)。
化石燃料は古代の生物遺骸から続成作用によって生成した。その探査には地質学の一般的な知見が活用されている。化石燃料は近年、地球温暖化ガスの根源になってきているが、今後も重要性は高い。地球温暖化ガス対策も進行中であり、特に温暖化ガスを地下に貯蔵する技術(CCS)は注目され、今後の進展を期待したい。
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