講演情報
[G-P-5]出雲市西部の大森層の高精度層序と堆積岩と火山岩類との不整合の特徴
*眞次 裕司1、酒井 哲弥2 (1. 島根大学大学院自然科学研究科環境システム科学専攻地球科学コース、2. 島根大学)
【ハイライト講演】地質調査では十全なデータが得られることはそうそうない.必然,限られたデータで解釈することになる.この研究は,不整合で接するように見える火山岩と堆積岩とが単一の層(Formation)を構成する大森層について,高精度の堆積学的研究を行い,みかけ不整合の正体が海進中の侵食に伴ってできた古地形(海食台など)であることを明らかにした.高精度化はデータの限界を拡張する一つの方向性である.(ハイライト講演とは...)
キーワード:
出雲市西部中新統大森層、不整合
島根県出雲市多伎町から大田市朝山町にかけては大森層が分布している。その年代は15~14Maである。この地域に分布する大森層は安山岩及びデイサイトと砂岩及び礫岩にから構成される。大森層の安山岩・デイサイトとその上位に重なる砂岩・礫岩との関係は,構造的に不整合に見える地点もあるが,鹿野ほか(1998)などでは,両岩相間の形成期に大きな時間間隙があるものではないとし,両岩相を大森層と扱っている.不整合のように見える成因として,安山岩―デイサイトの火山体の周辺の浅海・海浜環境で礫岩・砂岩が堆積したことによるとされている.しかし「構造的に不整合に見える」理由は具体的に明らかにされていない.そこで,この研究では出雲市多伎町から大田市朝山町の範囲で詳細な地質調査を行い,詳細な層序を明らかにするとともに,不整合の特徴を明らかにし,その成因を議論することを目的とした.
調査の結果,下位から火山礫凝灰岩とそこに貫入する安山岩―デーサイト調査範囲の一部エリアで細粒凝灰岩,火山礫凝灰岩(特徴は鹿野ほか(1998)の記載したOp3に類似),赤色に変色した細粒凝灰岩が認められた.その上位に礫岩ならびに砂岩が重なる.今回の調査で,礫岩・砂岩とその下位層との直接の境界は確認できなかったが,お互いの関係が高角の境界となっている場所,層理面に対してほぼ平行である可能性が高い地点が確認された.高角の境界となっている場所の周辺の礫岩層では,円盤型の礫を多く含む層準が確認された.こうした円盤型の礫が多く含まれる礫岩層は海浜堆積物であると解釈される.礫岩・砂岩の下部はごく浅海域で形成されたことを踏まえると,高角の境界は海食崖,層理面とほぼ平行な境界は,波食棚や海食台の形成に関係していると解釈される.すなわち,海進に伴う侵食によって形成されたものであると解釈される.また今回,新たに見つかった赤色に変色した細粒凝灰岩などは,海進に伴う侵食によって失われたものと判断される.
参考文献 鹿野ほか(1998)石見大田及び大浦地域の地質. 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 地質調査所, 118p.
調査の結果,下位から火山礫凝灰岩とそこに貫入する安山岩―デーサイト調査範囲の一部エリアで細粒凝灰岩,火山礫凝灰岩(特徴は鹿野ほか(1998)の記載したOp3に類似),赤色に変色した細粒凝灰岩が認められた.その上位に礫岩ならびに砂岩が重なる.今回の調査で,礫岩・砂岩とその下位層との直接の境界は確認できなかったが,お互いの関係が高角の境界となっている場所,層理面に対してほぼ平行である可能性が高い地点が確認された.高角の境界となっている場所の周辺の礫岩層では,円盤型の礫を多く含む層準が確認された.こうした円盤型の礫が多く含まれる礫岩層は海浜堆積物であると解釈される.礫岩・砂岩の下部はごく浅海域で形成されたことを踏まえると,高角の境界は海食崖,層理面とほぼ平行な境界は,波食棚や海食台の形成に関係していると解釈される.すなわち,海進に伴う侵食によって形成されたものであると解釈される.また今回,新たに見つかった赤色に変色した細粒凝灰岩などは,海進に伴う侵食によって失われたものと判断される.
参考文献 鹿野ほか(1998)石見大田及び大浦地域の地質. 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 地質調査所, 118p.
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