講演情報
[G-P-7]蔵王火山のK–Ar,Ar/Ar年代とアルゴン初期値補正について
*山﨑 誠子1、及川 輝樹1、伴 雅雄2、Miggins Daniel3、Koppers Anthony3 (1. 産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門、2. 山形大学、3. オレゴン州立大学)
キーワード:
K–Ar年代測定、40Ar/39Ar年代測定、アルゴン初期値補正
蔵王火山は約1 Maに活動を開始し、その活動期は6つに分けられている。活動期I以外の大部分の溶岩は約50万年前より若く、同位体希釈法によるK–Ar法では測定が困難であったが、1980年代後半に感度法(ピーク値比較法)によるアルゴン初期値補正の検討が始まってから、多くのK–Ar年代値が報告されている。高岡ほか(1989,地質雑p157‒170)は蔵王火山からの約30試料について感度法K–Ar年代を報告し、アルゴン初期値の質量分別補正の重要性を初めて示した。一方、40Ar/39Ar年代測定では、インバースアイソクロンを用いてアルゴン初期値を求めることができるが、初期値を補正せず、より誤差の小さいプラトー年代が用いられることもある。本研究では、6つの試料について、より確からしい年代値を得るために、感度法K–Arおよび40Ar/39Ar年代測定を実施し、両手法によるアルゴン初期値について検討した。
活動期Iについては、水中噴火であったことや岩脈試料の測定であったこともあり、従来言われてきた年代より古い約1.8 Maの感度法K–Ar年代値、約2 Maの40Ar/39Ar年代値が得られた。高岡ほか(前掲)で報告された周辺の岩脈試料も約1.5 Maと約0.5-0.9 Maとばらついており、本研究による40Ar/39Ar年代測定におけるプラトーやインバースアイソクロンの形状も良くないため、参考値として扱うのが好ましく、試料による測定の限界かもしれない。
活動期Vの3試料については、約110〜50 kaの年代値が得られた。概してK–Ar年代値の方が誤差が大きく、40Ar/39Ar年代の方が誤差が小さい。初期値の求め方に両手法で違いがあることが原因か、K–Ar年代測定で求めた40Ar/36Arは大気の値より高く、40Ar/39Ar年代のインバースアイソクロンから求めた40Ar/36Arは大気よりも低い傾向が見られた。補正前後の年代値の差は大きいものでは約30 kaほどにもなる。
活動期VIの2試料については、K–Arと40Ar/39Ar年代では非常によく似た年代値を示した。最も若くK–Ar年代測定で一部値が得られなかった刈田岳北方溶岩については、補正しない年代はマイナスの年代を示すものの、初期値を補正した40Ar/39Arインバースアイソクロン年代は約12 kaの値が得られた。この値は層序にも調和的である。
特に若い年代でアルゴン初期値補正が重要であることが確認されたものの、今後さらに初期値のずれの傾向や年代値の評価法について検討が必要である。
活動期Iについては、水中噴火であったことや岩脈試料の測定であったこともあり、従来言われてきた年代より古い約1.8 Maの感度法K–Ar年代値、約2 Maの40Ar/39Ar年代値が得られた。高岡ほか(前掲)で報告された周辺の岩脈試料も約1.5 Maと約0.5-0.9 Maとばらついており、本研究による40Ar/39Ar年代測定におけるプラトーやインバースアイソクロンの形状も良くないため、参考値として扱うのが好ましく、試料による測定の限界かもしれない。
活動期Vの3試料については、約110〜50 kaの年代値が得られた。概してK–Ar年代値の方が誤差が大きく、40Ar/39Ar年代の方が誤差が小さい。初期値の求め方に両手法で違いがあることが原因か、K–Ar年代測定で求めた40Ar/36Arは大気の値より高く、40Ar/39Ar年代のインバースアイソクロンから求めた40Ar/36Arは大気よりも低い傾向が見られた。補正前後の年代値の差は大きいものでは約30 kaほどにもなる。
活動期VIの2試料については、K–Arと40Ar/39Ar年代では非常によく似た年代値を示した。最も若くK–Ar年代測定で一部値が得られなかった刈田岳北方溶岩については、補正しない年代はマイナスの年代を示すものの、初期値を補正した40Ar/39Arインバースアイソクロン年代は約12 kaの値が得られた。この値は層序にも調和的である。
特に若い年代でアルゴン初期値補正が重要であることが確認されたものの、今後さらに初期値のずれの傾向や年代値の評価法について検討が必要である。
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