講演情報
[G-P-9]モンゴル南西部ブーンツァガン湖における環境動態:湖の堆積物と後背地研究
*長谷部 徳子1、Ganbat Shuukaaz1、時 哲1、Udaanjargal Uyangaa2、Gankhurel Baasansuren2、落合 伸也1、福士 圭介1、Davaasuren Davaadorj2 (1. 金沢大学、2. モンゴル国立大学)
キーワード:
モンゴル、湖沼堆積物、後背地侵食量
モンゴルValley of Gobi Lakesには多くの内陸湖が分布している。そのひとつBoontsagaan湖は長径は約20 km弱,深さ約10 mでこの地域で最も大きい湖の一つである。湖から採取した堆積物コア,湖と流入するBaidrag川から採取した堆積物トラップ試料,および流域の山脈から採取した岩石試料を分析し,環境動態調査をおこなった。堆積物に対しては,有機物,炭酸塩,非晶質シリカ含有量,全岩粒径,鉱物粒径,鉱物組み合わせ等を測定した。堆積物コアの堆積速度は,Pb-210の測定によって求め平均堆積速度は0.2g/cm^2/年であった。その年代モデルに基づき,観測所で得られている降水量,気温,風速などの気象データと堆積物の特徴を比較すると,(1)粒径は風の強さと相関している,(2)堆積量は降水量と相関している可能性がある,(3)乾燥気候下では炭酸塩の量が増加することが明らかになった。また堆積物トラップ試料の分析では河川には含まれていない炭酸塩鉱物が湖では検出され,炭酸塩鉱物が湖で自生されていることが示された。集水域の平均浸食速度を推定するため,岩石から分離したアパタイトを用いてフィッショントラック法で分析した。年代値は中世代を示し平均浸食速度は遅く(数mm/100年)安定している地域で,インド亜大陸の衝突による山脈形成の影響はこの地域には及んでいないことが類推される。また標高の高い試料は低いものよりも年代が若く,標高の高い場所の方がより侵食を被りやすいことを反映しているかもしれない。定点のデータを湖及び後背地に広げて見積もるのはあまり意味がないものの,試算すると後背地の侵食量と湖の堆積量のオーダーは同じとなりバランスが取れている。
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