講演情報

[T18-O-10]令和6年能登半島地震により発生した新潟市西区新通の噴砂の堆積学的特徴

*高清水 康博1、河崎 陸1、渡部 俊2、卜部 厚志2、西井 稜子2 (1. 新潟大学教育学部、2. 新潟大学災害・復興科学研究所)
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キーワード:

令和6年能登半島地震、噴砂、新潟

令和6年(2024年)1月1日16時10分に発生した気象庁マグニチュード7.6の令和6年能登半島地震(気象庁,2024)では,能登半島から約150 kmの新潟市西区は震度5強の揺れに見舞われた.その結果,新潟砂丘およびその背後の低地では広域に渡り液状化による地盤災害が起こった.新潟市にとっては,1964年6月の新潟地震以来の大規模な液状化現状であった.この液状化により発生した噴砂は,噴出した場(地形や地質など)によって多様な形態と規模が認められた.地震後の被害調査時に新潟市西区新通の畑地においても多くの噴砂を確認した.この畑地内に設定した区画内において噴砂の全数調査をしたところ,110の噴砂を認めた.噴砂の形態は多様であり,地割れに伴うもの,火口丘の様な形態,カルデラ様の形態,およびその他不定形のものであった.
 これらの噴砂の中で地割れに伴う規模の大きな噴砂を一つ選出し,その特徴を検討した.すなわち,液状化に伴う噴砂現象のメカニズムを解明することを目的として現地調査(地形測量,ドローン撮影,フォトグラメトリー,および地質試料の採取)を実施した.その後,実験室にて試料の詳細な記載,剥ぎ取り標本の作製,および粒度分析等を実施中である.畑地の地表の起伏の状況を考慮した結果,地割れに対して約60度の角度で斜交する測線を設定した.噴砂は地割れ付近では最大約13 cmの厚さで,離れるに従い層厚が1 cm以下に減少した(相関係数は,0.94および0.95).また剥ぎ取り標本の観察からはこの噴砂には平行葉理が認められた.また,地割れから測線に沿って約3.5 mほど離れると下部に薄い泥層があり,その上位に砂層が累重する様子を確認することができた.このことは地割れから液状化によって泥水が最初に流出した後に,砂が噴出したことで説明可能である.今後,粒度分析結果やX線CT撮影等を合わせて検討を続けていく計画である.

気象庁(2024a)令和6年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震について(第2報).令和6年1月1日報道発表資料,1p.

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