講演情報
[T13-O-23]山東省済南市鋼城区に分布する炒米店層(フロンギアン統)の微生物岩の特性
*前田 宗孝1、江﨑 洋一1、足立 奈津子1、劉 建波2、閻 振3 (1. 大阪公立大学大学院理学研究科、2. 北京大学地球与空間科学学院、3. 中国地質科学院)
キーワード:
カンブリア系、フロンギアン統、北中国、炒米店層、微生物岩
北中国山東省済南市鋼城区には,カンブリア系上位のフロンギアン統に相当する炒米店層が広範囲に分布している.炒米店層は,頁岩や石灰質扁平礫岩から成るGushan層の直上に累重し,最下部オルドビス系(トレマドキアン階)の三山子層に被覆される.フロンギアン統最下部のペイビアン階には,炭素同位体比の正偏位が顕著な「SPICE事変」の記録が残されている.本発表では,炒米店層中の微生物岩の特性に注目し,SPICE事変が地球生物相の変化に及ぼした影響を考察する.
炒米店層では,「樹状のコラムが特徴的なストロマトライト礁」や「ドーム状形態を示すスロンボライト礁」が,数層準に渡り認められる.ストロマトライト礁は,石灰質扁平礫岩層の直上に形成される場合が多い.個々のコラムの直径は層準によって異なるが,数cmや10 cm前後の場合が多い.直径が数cmの場合,コラムは分岐や癒合を頻繁に繰り返し,三次元的に複雑な形状を示す.コラム間では充填作用が顕著で,コラム周縁部で部分的な侵食作用が認められる.充填物の中では,三葉虫の生砕片が卓越するが,巻貝,頭足類の生砕片も含まれる.ストロマトライトのコラムは,暗灰色ミクライトと明灰色ミクライトの細互層から形成される.バーミフォーム状の組織で特徴づけられる「ケラトライト様の岩石」やペロイド状粒子の側方への集積から形成される場合もある.コラム全体がケラトライト様の岩石から構成されている場合もある.ケラトライト様の岩石がコラム外の周縁部に張り付くように産する場合もある.スロンボライト礁は,ストロマトライト礁に比べ産出が限定的である.礁の周縁部が侵食され,礁内部に石灰質扁平礫岩の充填物が認められる場合がある.スロンボライトを特徴づける斑点状組織は,それぞれGirvanellaやEpiphyton, Renalcis様の石灰質微生物類の集合から構成される.とくにGirvanellaが多様な集合様式を示す.基質部には三葉虫の生砕片の他に,海綿骨針が散在している.
フロンギアン世の生物相は,汎世界的に生じたSPICE事変(無酸素水塊の発達や有機質黒色泥岩の堆積)の影響も関係しきわめて乏しい.山東省長清区に分布する炒米店層の下位層準のストロマトライトでは,ドロマイト化作用が顕著な場合が多い.石灰質微生物類もきわめて限定的であるが,ケラトライト様の岩石は頻繁に認められる.一方,鋼城地域の炒米店層の微生物岩は保存が比較的良好で,数種類の石灰質微生物類が認められる.SPICE事変の影響が弱かった地域では,石灰質微生物類が微生物岩の形成に積極的に関わっていたと考えられる.炒米店層では張夏層とは異なり,なぜストロマトライトの形成の方がスロンボライトよりも卓越したのであろうか.また,炒米店層のストロマトライトとスロンボライトの形成は,どのような形成環境の違いや石灰質微生物類の種類の違いに由来したのだろうか.今後さらなる検討が必要である.
炒米店層では,「樹状のコラムが特徴的なストロマトライト礁」や「ドーム状形態を示すスロンボライト礁」が,数層準に渡り認められる.ストロマトライト礁は,石灰質扁平礫岩層の直上に形成される場合が多い.個々のコラムの直径は層準によって異なるが,数cmや10 cm前後の場合が多い.直径が数cmの場合,コラムは分岐や癒合を頻繁に繰り返し,三次元的に複雑な形状を示す.コラム間では充填作用が顕著で,コラム周縁部で部分的な侵食作用が認められる.充填物の中では,三葉虫の生砕片が卓越するが,巻貝,頭足類の生砕片も含まれる.ストロマトライトのコラムは,暗灰色ミクライトと明灰色ミクライトの細互層から形成される.バーミフォーム状の組織で特徴づけられる「ケラトライト様の岩石」やペロイド状粒子の側方への集積から形成される場合もある.コラム全体がケラトライト様の岩石から構成されている場合もある.ケラトライト様の岩石がコラム外の周縁部に張り付くように産する場合もある.スロンボライト礁は,ストロマトライト礁に比べ産出が限定的である.礁の周縁部が侵食され,礁内部に石灰質扁平礫岩の充填物が認められる場合がある.スロンボライトを特徴づける斑点状組織は,それぞれGirvanellaやEpiphyton, Renalcis様の石灰質微生物類の集合から構成される.とくにGirvanellaが多様な集合様式を示す.基質部には三葉虫の生砕片の他に,海綿骨針が散在している.
フロンギアン世の生物相は,汎世界的に生じたSPICE事変(無酸素水塊の発達や有機質黒色泥岩の堆積)の影響も関係しきわめて乏しい.山東省長清区に分布する炒米店層の下位層準のストロマトライトでは,ドロマイト化作用が顕著な場合が多い.石灰質微生物類もきわめて限定的であるが,ケラトライト様の岩石は頻繁に認められる.一方,鋼城地域の炒米店層の微生物岩は保存が比較的良好で,数種類の石灰質微生物類が認められる.SPICE事変の影響が弱かった地域では,石灰質微生物類が微生物岩の形成に積極的に関わっていたと考えられる.炒米店層では張夏層とは異なり,なぜストロマトライトの形成の方がスロンボライトよりも卓越したのであろうか.また,炒米店層のストロマトライトとスロンボライトの形成は,どのような形成環境の違いや石灰質微生物類の種類の違いに由来したのだろうか.今後さらなる検討が必要である.
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